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第17号 「R&I誌 消費者の選ぶチェーン・レストラン」

第17号 「R&I誌 消費者の選ぶチェーン・レストラン」

R&I誌が「消費者の選ぶチェーンレストラン」を発表した。

  当調査は、「レストラン・ビジネスにおいて、顧客のナマの声ほど重要なものはない」という信念のもと、
1981年より続く大規模な調査である
  今年は、総売上高TOP400チェーンのうち、119チェーンが基準を満たし、結果が発表されるに至った(※1)

  調査対象者は、外食頻度の高い3143名の大人で、年齢・性別・収入・人種/宗教が母集団(米国)を
反映するよう割り付けられている。
  調査項目は8点=(1)雰囲気、(2)クリンリネス、(3)利便性、(4)料理の品質、(5)イメージ、
(6)メニューバラエティー、(7)サービス、(8)価格…、プラス「全体評価」の9項目。これらを5段階評価で質問(※2)

    (※1);結果が発表された119チェーンとは、
        調査対象者の3.5%以上が12ヶ月以内に利用している、という基準を満たしたチェーン。
    (※2);5段階評価について;
        例えば、“イン・アンド・アウト・バーガーのサービスはいかがですか?”という質問に
            5:「良い」  4:「やや良い」  3:「普通」  2:「あまり良くない」  1:「良くない」
        の5段階尺度を用いて評価をしてもらう。

  さて、119チェーンは13部門に分けられ、各部門ごとに最も消費者からの評価を得た「最優秀チェーン」が
発表されている。

  各部門の最優秀チェーンは以下の企業となった。
 


最優秀チェーンの秘密
  誌上に掲載された各チェーンにつき、スコア詳細表を検証してみた。すると、最優秀(1位)に輝くチェーンは、
トレードオフ(二律背反。あれか、これか)が明確で、各店の強みが顧客から正当に評価されていることが
再確認できたのだ。

  わかりやすいので、ハンバーガー部門を例に取って詳しく説明してみたい。

ハンバーガー部門の結果
  以下、ハンバーガー部門の結果である。
最初に、表内の数字の見方をご説明しよう。例えば、1位のイン・アンド・アウト・バーガーをごらんいただきたい。
「サービス」という項目が67%となっている。

  これは、「イン・アンド・アウト・バーガーのサービスはいかがですか?」と質問した場合に、
「5:良い」「4:やや良い」と回答した人が67%となったという意味である(上位2つのスコアとご理解いただきたい)。
 

  さて、ハンバーガー部門の評価対象チェーンは16店。1位に輝いたのは、その「イン・アンド・アウト・バーガー」だ。

  全体的に高得点で最優秀(1位)に輝いたという印象。しかし面白いのは、際立って「低評価の項目」と
「高評価の項目」があることだ。

  まず、「メニューバラエティー32%」を見てほしい。
メニューバラエティーが豊富だと回答した人が32%ということは、68%が豊富ではないとしているのと同義。
  QSR(日本でいうファストフード)は、ビジネスモデルの特性上、メニューの豊富さは望めない業態であるが、
他のQSRと比較しても低評価。
  実は、これこそがイン・アンド・アウトの核なのだ。
「メニューバラエティー」を捨てたことが、同店の強みである「手づくり」につながっている


  仕組みはこうだ:


    * メニューバラエティーが少ないから、作業が単純化され、
      習熟度が上がり、手づくりが実現できる。
    * メニューバラエティーが少ないから、フードコストは下がり、
      低価格での商品提供が可能になる。
    * メニューバラエティーが少ないから、冷凍庫・マイクロウェーブ
      ・ヒートランプを使用する必要がなく、イニシャルコストも下がる。

  つまり、同店はメニューバラエティーを捨てることで、手づくりを実現し、同時に、低価格を実現しているのだ。

  そこで「価格」の項目を縦に見比べほしい。ハンバーガー部門において、価格に納得している人は、全体的に
少ない結果となっている。70%以上の評価を得ているのはイン・アンド・アウトだけ。
これは、他店と比べて圧倒的な優位差を持って高評価、ひとり勝ちともいえる結果であろう。
  「手づくり(フレッシュネス)」への実感と「価格設定(客単価4ドル25セント)」との兼ね合いが見事に「価格」への
高評価へとつながっていると推察できる。
  同店のメニューは、創業以来「ハンバーガー」と「フライ(フライドポテト)」だけ。チキン・サンドイッチや
野菜サンドの類はない。ハンバーガー3種類とフライ。計4種類だけである。思い切ったトレードオフが顧客満足に
つながっている好例であろう。
 

 

 イン・アンド・アウト・バーガー
      (IN-N-OUT Burger)
 http://www.in-n-out.com/
 裏メニューは6種類。
 写真(下左)の「プロテインスタイル」も1948年創業当時からのもの。味はサラダ寄りではなく、まさしくハンバーガー。裏メニューでさえハンバーガー屋(ビーフパテ屋)の誇りが感じられる。


  「メニューバラエティーが少ない」結果となった企業は他にもあるが、うまく他の項目への評価と
結びついていないといえる。
  また、メニューバラエティーが豊富であると評価をされている「レッド・ロビン」はカジュアルダイニング、
「カルバーズ」はファストカジュアルで、業態特性との兼ね合いがうまく表現されていると思われる。

  解説は1位企業のみにとどめるが、上位3社をご覧いただくと、高評価と低評価の項目が明確であることが
おわかりいだだけるだろう。

 

  (左から)「レッドロビン (Red Robin)」 http://www.redrobin.com
        「カルバーズ (Culver's)」 http://www.culvers.com
        「ファドラッカース (Fuddruckers。第4号で紹介)」 http://www.fuddruckers.com
        「ジョニーロケッツ (Johnny Rockets)」 http://www.johnnyrockets.com
        「マクドナルド (McDnald)」 http://www.mcdonalds.com
 

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経営コラムニスト紹介

Food Information Technology フードビジネスコンサルタント 山本洋三氏

山本洋三氏
Food Information Technology
フードビジネス
コンサルタント

米国の成功法則を、どうすれば日本で横展開できるのか…。

独自の『業態ワンボイス(ひとこと集約)』論コンサルティングの応用で、
米国のビジネスモデルをアレンジ。無理のない方式で日本企業への導入に
成功している注目のコンサルタント。


常に“まず訪ねる、まず観る、まず触れる”の現場主義を貫きながら、
「業態論」と「ブランドマーケティング論」の理論的側面からの考察をも併せて、
成功要因とリスク回避の方策を分析。
食品メーカーや大手料飲サービスFCをクライアントに有し、社長直属の
“知恵袋”としての情報提供や、年2~3度の帰国に合わせた
「流行・定点観測セミナー」の開催など、日米をフィールドに活躍中。


1957年兵庫県生まれ。79年、京都外国語大学英米語学科卒業後、渡米。
ロサンゼルス地区にてレストランに勤務。
その間、ハリウッド(映画・音楽・テレビなど)の授与式や
オープニング式典等のケータリング・演出を数多く担当する。


97年、その手腕を請われて流通コーディネーターに転身。
00年、フードサービス専門コンサルタントとしてMDPアソシエーツ
(カリフォルニア州モントレーパーク)に参画・独立。
01年、『業態ワンボイス』論コンサルティングをさらに拡げるべく、
フード・インフォメーション・テクノロジー
(FIT社、アリゾナ州スコッツデール)を設立、現在に至る。

山本氏が代表を務めるFIT社は、フード・ビジネスを中心としたコンサルの他、
「日本経営合理化協会アメリカ視察団」等、一般公募視察の現地コーディネート、
また、企業ごとにカスタマイズするオーダーメイド現地研修、米国企業との
交渉・業務提携の仲介業務などを専門支援する。

『アメリカ社会と外食マーケット論考』
(柴田書店「月刊食堂」2004年9月号~2005年2月号)
MOOK『NYデリ・カフェ、LAファストカジュアル』
(柴田書店)の構成・執筆協力、 『フードビズ』(株式会社エフビー、 15号より連載)
他、専門レポート等の執筆多数。

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