【夏季・全国経営者セミナー】事業家・若手起業家…35講師登壇、経営者700名が集う3日間 

日本経営合理化協会の関連サイト
米国フードビジネス 最前線 | 日本経営合理化協会BOOK&CD・DVD

文字の大きさ

日本経営合理化協会 BOOK&CD・DVD
お電話でのご注文も承っております:03-3293-0041

第14号 「業態を探る(まとめ) ~カジュアルプラス~」

第14号 「業態を探る(まとめ) ~カジュアルプラス~」

  今回は、米国で注目を集める「カジュアルプラス」、その背景と、収益構造上の本質を明らかにしたい。
  また、業態理解のまとめをつけたしたいと思う。

【何故いまカジュアルプラスか】


  では何故いま、カジュアルプラスのようなニッチ業態が米国において注目を集めているのか? 
  それは、既存業態における手詰まり感、閉塞感が深刻だからだと考える。
ニッチ業態というのは、いつの世も「機能優先型業態」「普及業態」に刺激を与える存在だ。現に、ニッチ業態である
ファストカジュアルが注目されて以降、QSR(※ 日本でいうファストフードのこと)が激しい変化の時期を迎えている。
  マクドナルドをはじめとするQSR各社は、一斉に内外装の新奇性を高め、スクラッチ度を工夫し、
ライフスタイルコンセプト寄りに大きくシフトを見せている。

  カジュアルプラスは、カジュアルダイニングの経営陣にとって大きな脅威と映り、影響を与えている状況となっている。

 

【カジュアルプラスの本質】


  それでは、注目業態であるカジュアルプラスの本質とは何だろう。 
その核心部の収益構造をひとことで表現するなら、「ハイリスク・ハイリターン」だ。

1) 立   地    : ハイトラフィックな大商圏型モール中心に出店(=高家賃)
2) 内  外  装  : 新奇性が高い(=高デザイン料、高建築費)
3) サービス手法 : もてなしに充分な人数を配置。
            自律性の高いサービスレベルを維持(=高・人件費)
4) 提 供 方 法 : 店舗スクラッチ(=高人件費、高材料費、高建築費)


  と、イニシャルコスト、ランニングコストともに高くなる。もしこれで、お客様が入らなければ、独りよがりで
損益分岐点が高いだけの赤字店になり、すぐに潰れてしまうに違いない。


  しかし、お客様が入った場合・・・


1) 高感度消費者が集まる
2) ディベロッパーが好条件で誘致に積極的になる
3) 出店条件やリース契約内容も他テナントより格段有利になる
4) 高感度消費者の集まる人気店には優秀なスタッフ
 (他店で既に教育を受けた優秀な経験者)が、口コミ(ノーコスト)で集まる
 

  と、好循環スパイラル効果が展開される。

  ポイントは、最初の数店。すべては、高感度消費者で溢れる状況をつくれるかどうかがキーなる。
そのためには、リスクをとって、顧客利益をギリギリまで追求した店づくりが必要となるのだ。


  ハイリスク・ハイリターン業態でお客がはいった場合、どの程度忙しいかを数字で表現してみよう。

  ザ・チーズケーキファクトリーは1店年商1081万2500ドル。客単価は$16.60。営業日数は365日なので、
1日の平均来店数は1784.5人。
  P.F.チャンズは1店年商576万8600ドル。客単価は$18.50。営業日数は365日なので、1日の平均来店数は
854.3人になる。


※ 両店ともにランチ・ディナー通し営業で、典型的な営業時間は11:00a.m.-11:00p.m.
(曜日・地域により11:00p.m.~12:00p.m.前後)


【業態理解のまとめ】


  以上、この2回にわたって、カジュアルダイニングとカジュアルプラスの違い、カジュアルプラスの本質を整理した。

  フードサービス業のビジネスモデルを検証する場合、まず客観的な「数字」を揃えて輪郭化を始めることが
スタートだと筆者は考える。○○という本や雑誌に紹介文があった、専門誌はこう分析していた、ということが参考になる
機会も勿論多くある。

  ただ、第一歩としては、数字で全体像を描き出し検証を進めるのがベストではないだろうか。
そのためには、より新しい数字を揃えてみること。筆者が第13回でしたように、ただ数字を並べてみるだけで
見えてくることは非常に多い。(ex.例えば筆者は、米国人記者がどう分析していようと、数字が何よりの
根拠となってカジュアルダイニングとプラスは違うビジネスモデルと考えているのだ)

  最初から想像力を働かせるのではなく、数字をベースに仮説を展開する習慣を持つほうが、
フードサービス業のビジネスモデルをよりよく理解できるのではないかと考える。

バックナンバー

2010.06.10
第30号 「ディッピンドッツ」
2010.06.10
第29号 「ピンクベリー」
~ヒートアップするフローズンヨーグルト市場~
2010.06.10
第28号 「コールドストーン・クリーマリーのゆくえ」
2010.06.10
第27号 「ミール・アッセンブリー(Meal Assembly)」(4)
2010.06.10
第26号 「ミール・アッセンブリー(Meal Assembly)」(3)
  1. ≫記事一覧

経営コラムニスト紹介

Food Information Technology フードビジネスコンサルタント 山本洋三氏

山本洋三氏
Food Information Technology
フードビジネス
コンサルタント

米国の成功法則を、どうすれば日本で横展開できるのか…。

独自の『業態ワンボイス(ひとこと集約)』論コンサルティングの応用で、
米国のビジネスモデルをアレンジ。無理のない方式で日本企業への導入に
成功している注目のコンサルタント。


常に“まず訪ねる、まず観る、まず触れる”の現場主義を貫きながら、
「業態論」と「ブランドマーケティング論」の理論的側面からの考察をも併せて、
成功要因とリスク回避の方策を分析。
食品メーカーや大手料飲サービスFCをクライアントに有し、社長直属の
“知恵袋”としての情報提供や、年2~3度の帰国に合わせた
「流行・定点観測セミナー」の開催など、日米をフィールドに活躍中。


1957年兵庫県生まれ。79年、京都外国語大学英米語学科卒業後、渡米。
ロサンゼルス地区にてレストランに勤務。
その間、ハリウッド(映画・音楽・テレビなど)の授与式や
オープニング式典等のケータリング・演出を数多く担当する。


97年、その手腕を請われて流通コーディネーターに転身。
00年、フードサービス専門コンサルタントとしてMDPアソシエーツ
(カリフォルニア州モントレーパーク)に参画・独立。
01年、『業態ワンボイス』論コンサルティングをさらに拡げるべく、
フード・インフォメーション・テクノロジー
(FIT社、アリゾナ州スコッツデール)を設立、現在に至る。

山本氏が代表を務めるFIT社は、フード・ビジネスを中心としたコンサルの他、
「日本経営合理化協会アメリカ視察団」等、一般公募視察の現地コーディネート、
また、企業ごとにカスタマイズするオーダーメイド現地研修、米国企業との
交渉・業務提携の仲介業務などを専門支援する。

『アメリカ社会と外食マーケット論考』
(柴田書店「月刊食堂」2004年9月号~2005年2月号)
MOOK『NYデリ・カフェ、LAファストカジュアル』
(柴田書店)の構成・執筆協力、 『フードビズ』(株式会社エフビー、 15号より連載)
他、専門レポート等の執筆多数。

山本洋三氏の経営コラムに関するお問い合わせ