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第11号 「P.F.チャンズ・チャイナビストロ」

第11号 「P.F.チャンズ・チャイナビストロ」

  P.F.Chang's China Bistro  http://www.pfchangs.com/


   単店年商576万8600ドル(約6億9223万円※NRN推計)。店舗数133店(2006年2月時点)。
既存店は125坪~150坪。席数は200席前後。客単価$18.50。最大150~200店までの多店化を計画している。

   創業は、1993年7月アリゾナ州スコッツデール市。僅か5年後の1998年にIPOを果たした。
成功の要諦は、本格的な中華料理を米国人ビジネスマンが現地化したこと。既存の中華料理店が果たせていない
「消費者ニーズ(不満、願い)」を丹念に抽出し、現地顧客(米国人)の目線で改良を加えて業態化したことである。
   店内は特徴ある天井と寄木張りの床。代赭色をした兵馬俑のレプリカがバランスよく配置され、
壁には中世のスクリーンペインティングが美しい。まさに米国人の目線で演出された東西文化の融合空間だ。

   競合はカジュアルプラスの原型ヒューストンズをはじめ全てのアップスケール型ディナーハウス。
既存の個店中華とは張らない。メニューアイテム数は70前後。料理はすべて店舗スクラッチ。一皿当たりの
ポーションは小さくし、顧客が色々な料理を安心して楽しめるように工夫を加えた。

 


   シグニチャーメニュー(看板メニュー)のレタスラップは、あまりの大ヒットで、今では競合各店のメニューに
登場するほどになっている。

   米国内のアジア料理店で頻繁に使用されるMSG(グルタミン酸ソーダ)は排除。
健康志向に呼応して安全の訴求も怠らない。
     ※ FDA(食品医薬品局)の発表によりアメリカ人はMSGを好まない傾向にある。
      MSGに対してアレルギー体質の生活者も多いことがMSGを好まない原因だ

   また、バーテンダーをクロストレーニング。バーに座る顧客の75%が料理を注文するなど
シングル層の吸引力も強く、高い売上を実現するための経営努力がいたるところにみられる。

   創業者のポール・フレミング氏は、石油ビジネスで財を成し、
高級ステーキハウスチェーン(ルースクリス)の大手フランチャイジー時代に、商品開発パートナーの
フィリップ・チャン氏(ビバリーヒルズで老舗の北京料理店経営)と出会った。
   開発までに5年(構想3年、パートナー提携に2年)を要したコンセプトは、
中国の地域料理(広東、上海、四川、湖南など)を機軸に、業態要素の「変えてはいけないポイント」と、
「変えなければいけないポイント」を検証。
   「何を」「どこまで」「どのように」変えるかを具体化して、それらを実行したのである。
エスニック料理を普及させる時、「美味しければ売れる」という「素朴な信念」は、米国では大きな阻害要因となる。

   お客様(米国人の顧客)が喜んで対価を支払う商品こそが良い商品という「原理原則」を忘れてはならない。
   砂漠のリゾート地で生まれた「米国の富裕層好みのエスニック空間」は、今後も国内主要メトロポリタン地区へ、
じっくり大きく展開されてゆくと期待されている。



【ニーズの業態化】

   上記より我々が学べることは、生活者に受け入れられ定着の道をたどる新業態というのは、
「カジュアルプラスをつくろう」と、いきなりそこを目指してつくられたわけではないということだ。
   生活者の願いや不満を叶えるべく懸命に努力を重ねた結果が、偶然「カジュアルプラス」の姿となったのだ。

   P.F.チャンズは、ビジネスモデルづくりの基本である「ニーズの業態化」を成し遂げたといえる。
逆から見ると、P.F.チャンズをつくったのは、生活者であるともいえるのだ。

ニーズの業態化をP.F.チャンズを例にとって記すと以下のようになる:

・・・■ニーズの業態化 「P.F.チャンズ」  (FIT資料より)・・・・・

 「欲」ニーズ
    ・・・・・(生活者の既存中華料理店への「不満」「希望」「願い」)
     1.不衛生
     2.言葉(英語)が通じ難い
       ※個店中華料理店の店舗スタッフは移民の中国人・アジア人が多い
     3.メニューは退屈・どこも代わり映えしない
     4.デザートは(米国人にとっては)小さな杏仁豆腐かマンゴープリンぐらい
     5.一皿あたりのポーションが取り分けを前提としている=「大きすぎる」
     ※米国では食事の際、各人で皿の所有権が決まっており、
      取り分けの習慣がない

 

 「快」ベネフィット
    ・・・・・(米国人目線での改良点「気持ちいい」「心地いい」「楽しい」「安心」)
     1.クレンリネスの効いたお洒落なビストロ空間
     2.言葉が通じる (米国生まれの店舗スタッフが多い)
     3.メニューは米国人に分かりやすい分類法
        (前菜、スープ&サラダ、チキン、シーフード、デザート、etc)
     4.慣れ親しんだ大好きなデザート 
       (チーズケーキ、チョコレートケーキ、etc)
     5.一皿が最適ポーション (米国人サイズ)
 

   大衆的なエスニック料理を、お洒落なビストロ空間で、たっぷり甘いデザートとアメリカ流ホスピィタリティーを
添えて提供するという、まさに、「ありそうで・なかった」業態を実現したのである。

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経営コラムニスト紹介

Food Information Technology フードビジネスコンサルタント 山本洋三氏

山本洋三氏
Food Information Technology
フードビジネス
コンサルタント

米国の成功法則を、どうすれば日本で横展開できるのか…。

独自の『業態ワンボイス(ひとこと集約)』論コンサルティングの応用で、
米国のビジネスモデルをアレンジ。無理のない方式で日本企業への導入に
成功している注目のコンサルタント。


常に“まず訪ねる、まず観る、まず触れる”の現場主義を貫きながら、
「業態論」と「ブランドマーケティング論」の理論的側面からの考察をも併せて、
成功要因とリスク回避の方策を分析。
食品メーカーや大手料飲サービスFCをクライアントに有し、社長直属の
“知恵袋”としての情報提供や、年2~3度の帰国に合わせた
「流行・定点観測セミナー」の開催など、日米をフィールドに活躍中。


1957年兵庫県生まれ。79年、京都外国語大学英米語学科卒業後、渡米。
ロサンゼルス地区にてレストランに勤務。
その間、ハリウッド(映画・音楽・テレビなど)の授与式や
オープニング式典等のケータリング・演出を数多く担当する。


97年、その手腕を請われて流通コーディネーターに転身。
00年、フードサービス専門コンサルタントとしてMDPアソシエーツ
(カリフォルニア州モントレーパーク)に参画・独立。
01年、『業態ワンボイス』論コンサルティングをさらに拡げるべく、
フード・インフォメーション・テクノロジー
(FIT社、アリゾナ州スコッツデール)を設立、現在に至る。

山本氏が代表を務めるFIT社は、フード・ビジネスを中心としたコンサルの他、
「日本経営合理化協会アメリカ視察団」等、一般公募視察の現地コーディネート、
また、企業ごとにカスタマイズするオーダーメイド現地研修、米国企業との
交渉・業務提携の仲介業務などを専門支援する。

『アメリカ社会と外食マーケット論考』
(柴田書店「月刊食堂」2004年9月号~2005年2月号)
MOOK『NYデリ・カフェ、LAファストカジュアル』
(柴田書店)の構成・執筆協力、 『フードビズ』(株式会社エフビー、 15号より連載)
他、専門レポート等の執筆多数。

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