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第7号 「パネラブレッド」

第7号 「パネラブレッド」

今回はファストカジュアルの代表ブランド「パネラブレッド」を取り上げる。

  同社は、昨2004年度、アメリカを席巻した「ローカーボ(低炭水化物・高タンパク) ダイエット」の猛威にも負けず
売上成長率27%増を記録。フードサービス業33番目の「10億ドル・ブランド」の仲間入りを果たした。

  未来への期待値を表す指標のひとつ株価も、P.F.チャンズ・チャイナビストロ、スターバックスと並び常時トップ3を
形成するほど高評価を獲得。店名の一部Panera(パネラ)を捩りPanera-noia(パネラノイア)という造語が
誕生するほど、フードサービス業の業態概念に影響を与える存在に成長した。

     ※Panera(パネラ)の余りの活躍ぶりに、競合がParanoia(パラノイア=被害妄想)
      に陥るというジョーク。

  では、早速、概観から見てみよう。

 

1.パネラブレッド概観  

【表1】:FIT資料より

(数字:R&I誌2005年7月号。NRN誌6月27日号。
CSG2005・CHAIN Restaurant OPERATORS各誌から抽出)

 

店名

 

Panera Bread (パネラブレッド)

 

経営母体

 

パネラブレッド社

 

業態

 

ファストカジュアル

 

プロトタイプ

 

123.2坪~140坪

 

創業

 

1981年

 

1店当たりの
売上高

 

187万2,000ドル(約2億2,500万)

 

店舗数

 

773

 

直営店舗数

 

243

 

フランチャイズ店舗数

 

530

 

平均客単価

 

7ドル35セント(約880円)

 

メニューアイテム数

 

30前後

 

立地

 

小商圏型ないし中商圏型S.C.(ショッピングセンター)

 

提供方法

 

オープンキッチン、スクラッチ(手づくり)、チャイナ、シルバー、フリードリンク、etc

 

サービス

 

セミ・セルフサービス

 

出店コスト

 

94万ドル~164万ドル

 

2.Panera(パネラ)成長への道のり

  Paneraの店名はロマンス語系の「pan:パン」と「era:時間・時代」に由来。''パンの時間ですよ'' と言う意味が
込められている。

  原型は、1987年にミズリー州セントルイス市で創業されたセントルイス・ブレッド・カンパニー。
1993年、19店まで多店化したところでオーボンパン社へ全店が売却される。
1998年、社名は現在のパネラ・ブレッド・カンパニーへ変更。
1999年、経営母体のオーボンパン社CEOロナルド・シェイク氏は、パネラ発展のため、
オーボンパン社を売却して資金を調達。その後、パネラに専心する。

  2000年、ナスダック市場・外食部門の成長率1位(194%)に輝き、「ベーカリーのスターバックス」と業界内から
注目される。現在、フランチャイズ契約のウエーティングリストには数百件が待機。
2008年度、国内最大『1500店』までの多店化を計画している。
 

 

 

3.ありそうでなかった「日常のオアシス」

  コンセプトは「日常のオアシス」。すべての業態要素がコンセプトへ向けバランス良く設計されている。
最新プロトタイプ店はアースカラーの落ち着いた空間にテーブル、椅子、ブースなどをゆったりと配置。
装飾品も「パン」をモチーフにしたものでまとめられている。

  また、業態偏重の固定観念にとらわれず、ファストカジュアル業態でありながらペーパー、プラスチック類を排除。
チャイナとシルバーを使用する。

  メニュー数は30前後。戦略商品のサワドーブレッドをはじめ、20種以上のパン(フォカッチャなど)、12種類のベーグル、
ツーオーダー(made-to-order)のサンドイッチとサラダ、15種類のスープ、グルメコーヒーといった構成。
テイクアウト売上構成比率は53%。フードコスト33.5%。人件費率29%。
 

  パネラブレッドは、

   

(1)オフィス街や住宅地に隣接する「立地」

(2)消費者が週に何度か通える「価格」

(3)心地よい「空間」

(4)「手づくり感」

の4つを同時実現。「日常のオアシス」を創出した。
 

「時代ニーズ」のすべてを巧みに詰め込んだ、まさに『ありそうで・なかった業態』といえる。

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経営コラムニスト紹介

Food Information Technology フードビジネスコンサルタント 山本洋三氏

山本洋三氏
Food Information Technology
フードビジネス
コンサルタント

米国の成功法則を、どうすれば日本で横展開できるのか…。

独自の『業態ワンボイス(ひとこと集約)』論コンサルティングの応用で、
米国のビジネスモデルをアレンジ。無理のない方式で日本企業への導入に
成功している注目のコンサルタント。


常に“まず訪ねる、まず観る、まず触れる”の現場主義を貫きながら、
「業態論」と「ブランドマーケティング論」の理論的側面からの考察をも併せて、
成功要因とリスク回避の方策を分析。
食品メーカーや大手料飲サービスFCをクライアントに有し、社長直属の
“知恵袋”としての情報提供や、年2~3度の帰国に合わせた
「流行・定点観測セミナー」の開催など、日米をフィールドに活躍中。


1957年兵庫県生まれ。79年、京都外国語大学英米語学科卒業後、渡米。
ロサンゼルス地区にてレストランに勤務。
その間、ハリウッド(映画・音楽・テレビなど)の授与式や
オープニング式典等のケータリング・演出を数多く担当する。


97年、その手腕を請われて流通コーディネーターに転身。
00年、フードサービス専門コンサルタントとしてMDPアソシエーツ
(カリフォルニア州モントレーパーク)に参画・独立。
01年、『業態ワンボイス』論コンサルティングをさらに拡げるべく、
フード・インフォメーション・テクノロジー
(FIT社、アリゾナ州スコッツデール)を設立、現在に至る。

山本氏が代表を務めるFIT社は、フード・ビジネスを中心としたコンサルの他、
「日本経営合理化協会アメリカ視察団」等、一般公募視察の現地コーディネート、
また、企業ごとにカスタマイズするオーダーメイド現地研修、米国企業との
交渉・業務提携の仲介業務などを専門支援する。

『アメリカ社会と外食マーケット論考』
(柴田書店「月刊食堂」2004年9月号~2005年2月号)
MOOK『NYデリ・カフェ、LAファストカジュアル』
(柴田書店)の構成・執筆協力、 『フードビズ』(株式会社エフビー、 15号より連載)
他、専門レポート等の執筆多数。

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