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第5号 「業態を探る ~ファストカジュアル編(最終回)~」

第5号 「業態を探る ~ファストカジュアル編(最終回)~」


今月は、注目の業態「ファストカジュアル」の総仕上げ。

ちょっとその前に、最近取材してきた「食の流行レポート」をご一読いただきたい。



~~ ミセス山本の"食の流行"ウオッチング~~

【TAZOグリーンティーフラペチーノ(starbucks)】 スターバックス サマーキャンペーン商品

http://www.starbucks.com/retail/greenTeaHealthBenefits.asp
http://www.starbucks.com/retail/nutrition_beverage_detail.asp?selProducts=185

 

  スターバックスの「抹茶フラペチーノ」が米国でも発売され1ヶ月あまりが経過。
ジェシカ店長へのインタビューとともに、皆様にご紹介したい。

  抹茶フラペチーノの米国名は'TAZOグリーンティーフラペチーノ'。サマーキャンペーン商品(9月30日まで)で、
"少しだけメロンシロップが入っている"のが米国版ならでは。
 

 
   

 

  写真のサイズはグランデ$3.50。
左はオリジナルレシピ(メロンシロップ入り+ホイップクリーム)、右はメロンシロップとクリームを除いて注文したものだ。
  味は。当然、右のほうが美味しい。というより右はかなり美味しい。が、左のメロンシロップ入りも結構いいので驚く。
「抹茶+メロン」のイメージが恐ろしすぎたせいか、飲んでみて拍子抜け。
(勿論アメリカらしく、甘さキツめの仕上がりではあるが・・・)

  いつものようにジェシカが話しかけに来たので「これは売れているのか」聞いてみる。「すごく売れている!」とのこと。
しかもジェシカが驚いているのは、最初はシロップの甘さで売れているのかと思っていたら、
「シロップ・クリーム抜き」で注文するアメリカ人も沢山いるのだという(※)。
  その上、つくっていると「もっと抹茶を入れてくれ!」とよく言われるとのこと。
ジェシカは父親の仕事の都合で6年間の日本滞在経験がある。
アメリカ人ながら、アメリカ人の抹茶への反応を興味深く見守っているとのことだ。
  スターバックスを最も支持しているのはジェネレーションY世代(28歳以下の層)といわれる。日本の食材に抵抗が
ないこの世代なら、抹茶の苦味も「ファッション」として乗り越え、生活の一部に取り入れてくれるかもしれない。

  現在米国は第2次和食ブームに沸いているが、ジェネレーションY先頭集団が40代にさしかかる頃、
和食は「クール」な食べ物から、「当たり前」のアメリカ料理として、かなり大衆化が進むことだろう。

  近々アメリカへいらっしゃる機会がある方は、是非、オリジナルレシピ'メロン入り'をお試しいただきたい!
    ※ starbucksのWeb上では「カロリーが気になる方はシロップやクリームを除いて
      注文してください」との記述あり。
 



【7】 有望分野はどこにある

  フードサービス業上位200チェーンより主要プレーヤーを抽出してみた。
下記は、業種別に上位チェーンを最大五つまで落とし込んだものである。

ハンバーガー》      
順位 前年 チェーン 業態 売上(億円)  店舗数
1位 1位 マクドナルド QSR \26,545.68 13,609
2
2
バーガーキング QSR \9,216.00 7,656
3
3
ウェンディーズ QSR \8,778.00 5,761
16
17
ジャック・イン・ザ・ボックス QSR \2,832.00 1,947
17
18
ソニック・ドライブ・イン QSR \2,830.80 2,701
           
《ピザ》      
順位 前年 チェーン 業態 売上(億円)  店舗数
7
7
ピザハット QSR \6,039.60 7,523
11
10
ドミノス・ピザ QSR \3,604.08 4,904
23
22
パパ・ジョーンズ・ピザ QSR \2,062.20 2,593
37
37
リトル・シーザース・ピザ QSR \1,440.00 3,035
82
80
チャッキー・チーズ カジュアルダイニング \571.44 456
           
《サンドイッチ / デリ》      
順位 前年 チェーン 業態 売上(億円)  店舗数
4
5
サブウェイ QSR \6,828.00 16,499
13
12
アービーズ QSR \3,252.00 3,303
45
54
パネラ・ブレッド・カンパニー ファストカジュアル \1,089.60 562
46
59
クイズノス QSR \1,065.60 2,480
126
117
アインシュタイン・ブロス・ベーグル ファストカジュアル \348.60 411
           
《チキン》    
 
順位 前年 チェーン 業態 売上(億円)  店舗数
8
8
KFC QSR \5,923.20 5,524
27
29
チック・フィル・A QSR \1,841.28 1,127
35
33
ポパイズ QSR \1,528.80 1,447
56
51
チャーチズ・チキン QSR \840.00 1,235
63
60
ボストン・マーケット ファストカジュアル \775.20 630
           
《メキシカン》      
順位 前年 チェーン 業態 売上(億円)  店舗数
6
6
タコベル QSR \6,415.20 5,989
89
91
デル・タコ QSR \478.92 426
109
133
バハ・フレッシュ・メキシカン・グリル ファストカジュアル \396.00 283
111
142
チポートレイ ファストカジュアル \390.00 305
159
158
タコ・ジョーンズ QSR \244.56 404
           
《イタリアン》      
順位 前年 チェーン 業態 売上(億円)  店舗数
19
21
オリーブ・ガーデン カジュアルダイニング \2,598.00 537
57
61
ロマーノズ・マカロニ・グリル カジュアルダイニング \838.80 207
84
78
スバロー QSR \536.40 793
88
100
カラバース・イタリアン・グリル カジュアルダイニング \492.00 148
144
 - ジョニーカリノス・イタリアン カジュアルダイニング \277.20 117
           
《アジアン》      
順位 前年 チェーン 業態 売上(億円)  店舗数
78
87
P.F.チャンズ・チャイナ・ビストロ カジュアルプラス \606.12 97
81
86
パンダ・エクスプレス QSR \579.60 608
170
174
ベニハナ・オブ・トーキョー カジュアルダイニング \231.24 69
           


  ハンバーガー、ピザ、サンドイッチ/デリ、チキン、メキシカン。この5業種はQSR(ファーストフード)の独壇場であり、
このうち、サンドイッチ/デリ、チキン、メキシカンの3業種に関しては、「ファストカジュアル」が登場していることも、
お気づきいただけるであろう。
  現状、話題の「ファストカジュアル」は、ほぼこの3業種に分布するものと考えてよかろう。

  では、この3業種は「ファストカジュアル」にとって今後も有望であり続けるであろうか?私には、そう思えない。

  最大の理由は、前述した通り、この業種がもともとはQSRの独壇場であるということだ。
QSRは、1950~60年代から始まり、低価格・高品質のアンビバレント(矛盾)を、チェーンの力で磨き続けてきた。
彼らには限界点を追求するだけの経験値も体力もあるからこそ、昨年あたりからの「ファストカジュアル」出現に対し
危機を感じ、高品質商品を打ち込んできたのだ。
  ファストカジュアルが、この同じ土俵に乗ったら負けてしまう。
相手(QSR)は製造小売業。スピードと利便性を売る社会インフラなのである。

  では、どの業種が有望か?

  ここで、ファストカジュアルの業態ワンボイス=「手作り感!」が登場するのだ。
QSRの参入がなく、かつ、手作り感を"ありがたみ"として可視化、価値化しやすい業種を選ぶべきだ。
  アジアンとイタリアン。ファストカジュアルにとって、今後有望なのは、アジアンとイタリアンであると私は見ている。


【8】 ペイウェイ・アジアンダイナーの価値

  話題のファストカジュアルの1つに「ペイウェイ・アジアンダイナー」がある。
「PFチャンズ・チャイナ・ビストロ(カジュアルプラス/中華)」を展開母体とするチェーンだ。

  視察でペイウェイを訪れた人々は一様に感心する。テイクアウト専用出入り口に、
テイクアウト専門のキャッシャーがいること、そして、テイクアウト比率が4割であることに...。
  しかしご注意願いたい。これらはただの結果なのだ。消費者は、出入口があるから、キャッシャーがいるから
テイクアウトをするのであろうか?いや違う、それは結果なのである。

  では何の結果なのか。それは、「おいしさ」「手作り感」の結果なのである。
ペイウェイの価値とは手作り感に他ならない。
  ペイウェイはカジュアルプラスのPFチャンズの品質を保っているのだ。
その分、立地を捨て、接客頻度を減らし、内外装・備品の簡素化をはかっている。捨てないのは手作り感だ。
「手作り感」のワンボイスヘ向け、業態を最適化しているのである。

    では、差別化の手段は何であろうか?それは、「オープンキッチン」である、「調理人」である。
そして「火」が見えてくる。


【9】 火とは何か

  臨場感溢れるオープンキッチン。"手作り感"とは、"躍動感"である。
これを演出するのは「火」。「火」は料理人の道具なのだ。
  「火」をあやつるには技術が必要である。「火」にはダイヤルレベルがない。
チェーン店で電動調理器具のダイヤルをマニュアル通りに調整する調理人を見て、
あるいは、電子レンジのダイヤルをセットする素人スタッフを見て、"料理をしている"と誰が思うであろうか?

  火をあやつる人間の動作は大きく美しく、情熱的だ。"手作り感とは情熱の演出"なのだ。
火は情熱を効果的に演出する。ファストカジュアルのワンボイスが「手作り感」である以上、オープンキッチンと火は、
大きな差別化の道具となることであろう。


【10】 業態ワンボイス×有望分野=方向性

以上、業態ワンボイス論のファストカジュアル篇をお送りした。

  お客様から見たポジションニングと、店側のポジショニングを深く見つめると、優先順位が見えてくる。
消費者ニーズと業態バランス(収益構造)を最後まで考え抜くと、1つだけ浮かびあがるキーワードがあるのだ。
  これを業態ワンボイスと呼ぶのである。ワンボイスは企業の行動規範であり、戦略の判断基準となる。

  ファストカジュアルのワンボイスは「手作り感!」である。有望分野は「アジアン」と「イタリアン」。
「情熱の演出」がカギとなる。
  そして、差別化の手段は「オープンキッチン」。道具は「火」なのである。

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経営コラムニスト紹介

Food Information Technology フードビジネスコンサルタント 山本洋三氏

山本洋三氏
Food Information Technology
フードビジネス
コンサルタント

米国の成功法則を、どうすれば日本で横展開できるのか…。

独自の『業態ワンボイス(ひとこと集約)』論コンサルティングの応用で、
米国のビジネスモデルをアレンジ。無理のない方式で日本企業への導入に
成功している注目のコンサルタント。


常に“まず訪ねる、まず観る、まず触れる”の現場主義を貫きながら、
「業態論」と「ブランドマーケティング論」の理論的側面からの考察をも併せて、
成功要因とリスク回避の方策を分析。
食品メーカーや大手料飲サービスFCをクライアントに有し、社長直属の
“知恵袋”としての情報提供や、年2~3度の帰国に合わせた
「流行・定点観測セミナー」の開催など、日米をフィールドに活躍中。


1957年兵庫県生まれ。79年、京都外国語大学英米語学科卒業後、渡米。
ロサンゼルス地区にてレストランに勤務。
その間、ハリウッド(映画・音楽・テレビなど)の授与式や
オープニング式典等のケータリング・演出を数多く担当する。


97年、その手腕を請われて流通コーディネーターに転身。
00年、フードサービス専門コンサルタントとしてMDPアソシエーツ
(カリフォルニア州モントレーパーク)に参画・独立。
01年、『業態ワンボイス』論コンサルティングをさらに拡げるべく、
フード・インフォメーション・テクノロジー
(FIT社、アリゾナ州スコッツデール)を設立、現在に至る。

山本氏が代表を務めるFIT社は、フード・ビジネスを中心としたコンサルの他、
「日本経営合理化協会アメリカ視察団」等、一般公募視察の現地コーディネート、
また、企業ごとにカスタマイズするオーダーメイド現地研修、米国企業との
交渉・業務提携の仲介業務などを専門支援する。

『アメリカ社会と外食マーケット論考』
(柴田書店「月刊食堂」2004年9月号~2005年2月号)
MOOK『NYデリ・カフェ、LAファストカジュアル』
(柴田書店)の構成・執筆協力、 『フードビズ』(株式会社エフビー、 15号より連載)
他、専門レポート等の執筆多数。

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