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第3号 「業態を探る ~ファストカジュアル編(2)~」

第3号 「業態を探る ~ファストカジュアル編(2)~」


注目の業態「ファストカジュアル」について、今月も引き続き、ご説明申し上げたい。               


ちょっとその前に.........、


  前回の【 】にてファストカジュアルの原型と紹介した「ラ・マドレーヌ」の最近の様子を、公私のパートナーである
Mrs.Yamamotoが取材してきたので、ご報告申し上げる。           


~~ ミセス山本の"ひとくち"コラム ~~


La Madeleine(ラ・マドレーヌ : ファストカジュアルの原型といわれるブランド)

http://www.lamadeleine.com/

ラ・マドレーヌ外観 クロックムッシュ
クレープ テーブルの装飾

 

「フランスの田園」をテーマにしたフレンチ・カフェ。中核顧客は高学歴の中高所得者層。全体の2/3は女性。
カフェテリア形式の店内中央付近に暖炉が配置され調度品との調和がフランスの家庭にいるような雰囲気を演出。
入店すると焼きたてのパンの香りがたちこめる。
何を食べても素材の新鮮さを感じる味わい。クロックムッシュは、シーザースサラダが付いて$6.99。
チーズもハムも上質。サラダの品質はFRより格段上。カジュアルプラスとほぼ同等の濃いみずみずしさ。
シュリンプとスピナッチのクレープ$9.99は特におすすめ。ちょっぴりのトマトと大きめのエビが抜群の鮮度感。
あっさりしたクリームソース味。

 


 

では、本論...


【4】 店側から見る業態ポジショニングマップ:《表3》《表4》《表5》

  業態とは「収益構造」と「状態」であり、「収益構造」とは、要素のバランスのことを指す。
  このコラムの第1号で、"業態とは、何かを取ったら、何かを捨てる"トレードオフこそが基本原理であると述べた。
ところが、実際の現場を見れば、「何に特化したか」は話題になれど、「何を捨てたのか」については、
ほとんど議論されていないのが現状だ。
  「どの要素を捨てたのか」を見極めないと、それは、未完成な業態論だ。この点に配慮し作成したのが、
《表3》~《表5》である。

  まず、《表3》をご覧いただきたい。QSR~ファインダイニングの各業態が、「商品クオリティー」×「商圏」の軸に対し、
ほぼ一直線(正比例)に配置されるのがご理解いただけよう。
  そして、カジュアルダイニングと同程度の商品クオリティー、かつ、ファミリーレストランと同程度の商圏範囲を持ち、
少し個性的な位置に外れるのがファストカジュアル。


《表3》

  QSRと単純比較されがちなファストカジュアルだが、商圏の範囲はQSRより大きい。
つまり、ファストカジュアルとは"商品クオリティーのために、立地を捨てた"業態ということが理解できる。

  次に《表4》。「サービス(接客頻度)」×「商品クオリティー」で構成してみた。
この表においても、ファストカジュアルだけはユニークな場所に配置されるのがご覧いただける。
 

《表4》

  カジュアルダイニングと同じレベルの「商品クオリティー」を追求するために、あえて「サービス(接客頻度)」を
放棄しているのだ。

  最後に《表5》。構成は「商品クオリティー」×「メニュー数」であり、各業態の配置に比例関係は見られない。
  この表では、ファストカジュアルが、"「商品クオリティー」追求のために、「メニュー数」を捨てている"ということが
説明できる。
 

《表5》

さらに踏み込んで説明すれば、「メニュー数」を捨てることは、工程の単純化(同時に高品質の維持)をすすめ、
材料費・人件費の圧縮を促し、そして「提供スピード」アップにも繋がる...と、この《表5》ひとつだけでも業態論が
展開できそうなほど、様々なことを示唆してくれる。
"業態の本質は、要素のバランス"の詳細説明は、また別の機会に譲るとし、先ずは、ファストカジュアルを整理しておこう。


ファストカジュアルとは、「手作り感」×「スピード」×「内外装の新奇性」のハイブリッドとして消費者ニーズに貢献し
その分「立地」・「メニュー数」・「サービス(接客頻度)」を捨てた業態、というのが私の考えである。

【5】 ファストカジュアルの業態メッセージ

  ここまでの説明から、ファストカジュアルの業態メッセージは、「手作り感」、「スピード」、「新奇性」の三つであると
定義しよう。

しかし、スピードではQSRには敵わない(参照:《表1》)し、
内外装の「新奇性」もカジュアルプラスやファインダイニングには及ばない(参照:《表2》)。

《表1》
《表2》


  ならば、ファストカジュアルが最後まで消費者に約束し続けるべきは何であろうか?

  それは「手作り感」。この「手作り感!」のワンボイスこそが、ファストカジュアルの業態メッセージだ。
これを忘れると、消費者からの信頼は失墜する。くれぐれも、"あれも、これも"と、他要素を深追いしないことだ。

業態はバランス。トレードオフである。業態バランス表をよくイメージし、消費者との信頼関係を守り抜くことである。


【6】 『手作り感!』のワンボイスに向けた業態戦略

  消費者に対し、最後の最後まで守り抜くべき「究極の約束事」を、
私は「ワンボイス(約束ごとの"ひと言集約")」と呼んでいる。

レストランは、料理・サービス・空間・立地の4つを同時提供する特殊性から、つい"あれも、これも"と
様々なものを約束しようと試みる。

しかし、業態とは要素同士のトレードオフであり、つまり、"あれか、これか"の選択である。
結局、欲張りすぎないことが、消費者との約束を守ることに繋がるのだ。

ファストカジュアルの業態ワンボイスは「手作り感!」。これを核にファストカジュアルの業態戦略は設計されている。
それを守り抜くことが、肝要である。

  では、どんな業種が、ファストカジュアルに有望か?
 

  次回は、業種別の市場分布を見ながら現状把握し、そこから有望業種探っていくとしよう。

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2010.06.10
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~ヒートアップするフローズンヨーグルト市場~
2010.06.10
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経営コラムニスト紹介

Food Information Technology フードビジネスコンサルタント 山本洋三氏

山本洋三氏
Food Information Technology
フードビジネス
コンサルタント

米国の成功法則を、どうすれば日本で横展開できるのか…。

独自の『業態ワンボイス(ひとこと集約)』論コンサルティングの応用で、
米国のビジネスモデルをアレンジ。無理のない方式で日本企業への導入に
成功している注目のコンサルタント。


常に“まず訪ねる、まず観る、まず触れる”の現場主義を貫きながら、
「業態論」と「ブランドマーケティング論」の理論的側面からの考察をも併せて、
成功要因とリスク回避の方策を分析。
食品メーカーや大手料飲サービスFCをクライアントに有し、社長直属の
“知恵袋”としての情報提供や、年2~3度の帰国に合わせた
「流行・定点観測セミナー」の開催など、日米をフィールドに活躍中。


1957年兵庫県生まれ。79年、京都外国語大学英米語学科卒業後、渡米。
ロサンゼルス地区にてレストランに勤務。
その間、ハリウッド(映画・音楽・テレビなど)の授与式や
オープニング式典等のケータリング・演出を数多く担当する。


97年、その手腕を請われて流通コーディネーターに転身。
00年、フードサービス専門コンサルタントとしてMDPアソシエーツ
(カリフォルニア州モントレーパーク)に参画・独立。
01年、『業態ワンボイス』論コンサルティングをさらに拡げるべく、
フード・インフォメーション・テクノロジー
(FIT社、アリゾナ州スコッツデール)を設立、現在に至る。

山本氏が代表を務めるFIT社は、フード・ビジネスを中心としたコンサルの他、
「日本経営合理化協会アメリカ視察団」等、一般公募視察の現地コーディネート、
また、企業ごとにカスタマイズするオーダーメイド現地研修、米国企業との
交渉・業務提携の仲介業務などを専門支援する。

『アメリカ社会と外食マーケット論考』
(柴田書店「月刊食堂」2004年9月号~2005年2月号)
MOOK『NYデリ・カフェ、LAファストカジュアル』
(柴田書店)の構成・執筆協力、 『フードビズ』(株式会社エフビー、 15号より連載)
他、専門レポート等の執筆多数。

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