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第2号 「業態を探る ~ファストカジュアル編(1)~」

第2号 「業態を探る ~ファストカジュアル編(1)~」

 先月のコラムでは、
フードビジネスの場合、米国をそのまま持ち帰っても成功しない。そのキーとなるのは"業態バランス"」と、
お話させていただいた。

では、具体的にどうすればいいのか...?。                            

 今回からは、独自性の高い業態を消費ニーズを軸に採り上げ、それぞれの差異の価値化と業態バランスの説明、
日本での事業化の方向を探っていきたいと思う。 

【はじめに】 業態分類のイメージをとらえる

 フードビジネス業界の専門用語に、馴染みのある方は多くはないはずだ。
そこで、各業態についての説明を始める前に、まずはイメージを掴んでいただきたく、各業態の類型とともに、
代表的チェーン店名や客単価を並べてみた。以下の通りである

客単価
業態類型
代表チェーン
$25~ ファインダイニング フレンチ・ランドリー、ノブ、ロイズ
$15~$24.99 カジュアルプラス ザ・チーズケーキファクトリー、P.F.チャンズチャイナビストロ、ヒューストンズ
$8~$14.99 カジュアルダイニング アップルビーズ・ネーバーフードグリル&バー、T.G.I.フライデーズ、ザ・オリーブガーデン

 

$7~$12 ファストカジュアル パネラブレッド、ペイウェイ・アジアンダイナー、チポトレ
$8以下 ファミリーレストラン デニーズ、IHOP、クラッカーバレル・オールドカントリーストアー
$8以下 QSR(クイックサービスレストラン。日本のファストフードのこと) マクドナルド、サブウェイ、タコベル

 

ロイズ
http://www.roysrestaurant.com/
ザ・チーズケーキ ファクトリーhttp://www.thecheesecakefactory.com/ 

【1】 ファストカジュアルの萌芽と成長

 ファストカジュアルは温故知新の業態である。原型として度々名前が挙がるブランドは2つあり、ファッドラッカーと、
ラ・マドレーヌ。創業はそれぞれ1980年と1983年。誕生から二十余年の歳月を経て、今また輝きを取り戻した。
 

 業界内の耳目を集めることとなったきっかけは、2001年4月にアメリカQSR誌が「ファストカジュアルの台頭」を
取り上げたことであったろうと記憶している。当時を振り返ると、消費者のライフスタイル変化が大きな潮流として
騒がれ、各分野の専門家が実に多くの仮説を展開した。そして、社会変化の貢献者は次のような層だと言われていた。


 第一番目は、「ベビーブーマー」(1946年~'64年生まれの7800万人)。

彼らは子供時代にクイックサービスレストランQSR)やファミリーレストランFR)で豊富な食事体験を持つため、
外食そのものには親しみを持つ属性だ。中でも、先頭集団は、住宅ローンや養育費への支出を終え、
可処分所得と可処分時間に余裕を持つ、人生の新しいライフステージに入りつつあった。


 二番目は、個性化・個別化が特徴的な「ジェネレーションX」(1965年~'76年生まれの4460万人)。
彼らは成人し、外食行動が本格化していった。


 三番目は「ジェネレーションY」(1977年~'94年生まれの7007万人)。
彼らの特性、感性、消費傾向などが、大きな母集団として注目されはじめた時期である。


 しかし、肝心の外食業界の側はといえば、それらの新しい生活ステージにふさわしい消費ニーズへの"気づき"が
無く、コンセプト開発も活発化しないままの閉塞的状況が続いていた。QSR商品のコモディティー化、FRの業態疲労、
カジュアルダイニングの停滞など負の側面が顕在化し、見慣れた看板は見飽きた看板へ、安心は退屈へ...。

 そのような中、消費者が「いい」と言い始めた業態。それが、20歳になろうかという
ファストカジュアル」だったのである。まさしく「コンセプトとは、タイミング」。消費者のタイミングで萌芽し、成長するのだ。
 

 では一体、ファストカジュアルとは何者なのであろうか。
一般論では浮かび上がらない独自性をポジショニングマップで解明してみたいと思う。
 


【2】 ファストカジュアル一般論

 ファストカジュアルは「業態名」である。客単価は7ドル~12ドルの範囲に分布し、サービス形態は
セミ・セルフサービスが主流。QSRとカジュアルダイニングの業態要素が部分集合した「ハイブリッド業態」といえる。
 


【3】 お客側から見る業態ポジショニングマップ: 《表1》 《表2》

 通常ポジショニングマップは、本来、自社の独自性を明確にするために利用するものであるが、
今回は、ファストカジュアルの正体を解明するため、お客側から見たポジショニング(心のポジション)と、
店側から見たポジショニング(収益構造)
に分け、計5表を作成した。


まずは消費者側から見た業態マップからご覧いただきたい。

 ファストカジュアルを説明する際、最も頻度が高いのは、「QSRとカジュアルダイニングのハイブリッド業態」という
説明ではないかと思う。それは、「速さ」と「品質」の同時提供を意味する。この論に沿って作成したのが 《表1》 だ。 

《 表 1 》


縦軸を「手作り感」、横軸を「提供スピード」として各業態をマッピングしてみた。
なるほど、手作り感が高く、提供スピードの速い業態カテゴリーは、まったくの真空状態だったのである。
そして、ここに出現したのがファストカジュアルであり、「速さ」と「品質」を同時に実現する唯一の業態ということになる。


 次に、業界誌から様々な消費傾向のキーワードを拾い集めてみた。外せない要素として「内外装の新奇性」を選び、
「手作り感」と掛け合わせてみたのが 《表2》 である。  

《 表 2 》

 

 新奇性が高く、手作り感も高い業態は、ファストカジュアルの他、ファインダイニングの一部、
カジュアルプラスであることが見てとれる。実は、ここにポジションする業態は「店舗デザイン」、「メニュー設計」で
ベンチマーキングの対象となりやすい業態である。
現在、アメリカで話題になりやすい業態キーワードは「内外装の新奇性」×「手作り感」であると言える。


 《表1》《表2》より、ファストカジュアルとは、
「手作り感」×「スピード」だけでなく、×「内外装の新奇性」、3要素のハイブリッド業態
であることが、
ご理解いただけると思う。

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経営コラムニスト紹介

Food Information Technology フードビジネスコンサルタント 山本洋三氏

山本洋三氏
Food Information Technology
フードビジネス
コンサルタント

米国の成功法則を、どうすれば日本で横展開できるのか…。

独自の『業態ワンボイス(ひとこと集約)』論コンサルティングの応用で、
米国のビジネスモデルをアレンジ。無理のない方式で日本企業への導入に
成功している注目のコンサルタント。


常に“まず訪ねる、まず観る、まず触れる”の現場主義を貫きながら、
「業態論」と「ブランドマーケティング論」の理論的側面からの考察をも併せて、
成功要因とリスク回避の方策を分析。
食品メーカーや大手料飲サービスFCをクライアントに有し、社長直属の
“知恵袋”としての情報提供や、年2~3度の帰国に合わせた
「流行・定点観測セミナー」の開催など、日米をフィールドに活躍中。


1957年兵庫県生まれ。79年、京都外国語大学英米語学科卒業後、渡米。
ロサンゼルス地区にてレストランに勤務。
その間、ハリウッド(映画・音楽・テレビなど)の授与式や
オープニング式典等のケータリング・演出を数多く担当する。


97年、その手腕を請われて流通コーディネーターに転身。
00年、フードサービス専門コンサルタントとしてMDPアソシエーツ
(カリフォルニア州モントレーパーク)に参画・独立。
01年、『業態ワンボイス』論コンサルティングをさらに拡げるべく、
フード・インフォメーション・テクノロジー
(FIT社、アリゾナ州スコッツデール)を設立、現在に至る。

山本氏が代表を務めるFIT社は、フード・ビジネスを中心としたコンサルの他、
「日本経営合理化協会アメリカ視察団」等、一般公募視察の現地コーディネート、
また、企業ごとにカスタマイズするオーダーメイド現地研修、米国企業との
交渉・業務提携の仲介業務などを専門支援する。

『アメリカ社会と外食マーケット論考』
(柴田書店「月刊食堂」2004年9月号~2005年2月号)
MOOK『NYデリ・カフェ、LAファストカジュアル』
(柴田書店)の構成・執筆協力、 『フードビズ』(株式会社エフビー、 15号より連載)
他、専門レポート等の執筆多数。

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