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第14回 「第3の案」で人生の課題を超克しよう!
~「7つの習慣」に始まるコヴィー博士の集大成~

次の売れ筋をつかむ術

ビジネスマンはビジネスで成功し続けるために生きている。

経営者は企業経営で成功し続けるために生きている。

われわれ人間は人生で成功し幸福であり続けるために生きている。

時代は変われども、人間の社会である限り、古今東西、成功の法則は基本的に変わりはない。

では、ビジネスマンたるもの、どんな本を人生の座右の書とすべきなのか。


◆世界のビジネスマンの聖書 『7つの習慣 成功には原則があった!』

少なくともあらゆる統計は、スティーブン・R・コヴィー博士による
『7つの習慣 成功には原則があった!』(The 7 Habits of Highly Effective People)が、
世界中のビジネスマンに長きにわたって最も大きな影響を与えて来たことを示している。

『7つの習慣』は、コヴィー博士が過去のさまざまな分野の成功者に相通じる成功の原則を
徹底的に調べてまとめ上げた書で、原著は1989年に著され、1996年に出版された。

その後、38ヶ国語に翻訳され、全世界で2,000万部、日本でも150万部を売り上げているロング・ベストセラーだ。
出版から20年が経過した今も人気が衰えることはなく、
世界のビジネス書史上No.1の出版部数を記録し、ビジネスマンの聖書となっている。

アメリカの『フォーブス』誌(2002年)の「もっとも影響を与えたマネジメント部門の書籍」のトップ10に、
『チーフ・エグゼクティブ・マガジン』誌 の「20世紀にもっとも影響を与えた2大ビジネス書」の1つに、
日本でも『プレジデント』誌(2008年)の『どの本&著者が一番役立つか』の特集で1位に選出された。

経団連の名誉会長で、トヨタ自動車の相談役の奥田碩氏は、「本書は世界の貴重な財産だ」と述べている。

また、元ザ・リッツ・カールトン・ホテルの日本支社長の高野登氏も、「私の座右の書である」と記している
ほどだ。

ジャンルはビジネス書とされる場合が多いが、成功哲学、人生哲学、自助努力をはじめ
人の人生全体を広く捉えており、自己啓発書に分類される場合もある。

コヴィー博士はハーバード大学でMBAを取得後、ブリガム・ヤング大学で博士号を取得し、組織行動学の
教授となった。
アメリカのフランクリン・コヴィー社の共同創設者であり副会長として、
40年以上にわたり、各国の指導者や企業の経営者を含む数百万人を対象に、
個人および組織の効果性を支配する原則が持つ「変える力」を指導してきた人物だ。

イギリスの『エコノミスト』誌は、「世界で最も大きな影響力を持つビジネス思想家」と評した。
現在、妻とともにアメリカ・ユタ州のロッキー山脈のふもとに住んでいる。

『7つの習慣 成功には原則があった!』 http://tinyurl.com/3xaa9g
の内容については本稿では詳述を避けるが、少なくとも読者の人生が大いに豊かになることは間違いない。

また、『7つの習慣』に続いて著された、21世紀のあるべきリーダーシップを論じた
『第8の習慣「効果」から「偉大」へ』も世界的ベストセラーとなっている。

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◆コヴィー博士3部作の集大成『第3の案』が日本でも出版

そして、満を持して、前2冊に続く3部作の集大成として、
『第3の案』(The Third Alternative) が、この度、アメリカで出版され、大きな反響を呼んでいる。

2月25日には、いよいよ日本版が出版される運びとなった。http://7habits.jp/3rdalt.html

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以前から、コヴィー博士のグループの日本法人であるフランクリン・コヴィー社のセミナーの講師を務めたり、
WEBサイトに寄稿させて頂くなどの関係もあり、
光栄にも日本版の出版に向けた日本の各界著名人からの推薦文のとりまとめをお手伝いさせていただいた。

『第3の案』は、『7つの習慣』に紹介されている「相乗効果(シナジー)を発揮する」(第6の習慣)を、
より広く、より深く探っていくものだ。

「第6の習慣」=相乗効果(シナジー)を発揮するとは、全体の合計を各部分の和よりも大きくすることを
意味する。

つまり、自分と他人の意見に相違が生じた時に、自分の意見を通すのでなく、他人の意見に折れるのでもなく、
自分と他人との相違点を尊びつつ、ともに第三案を探し出すことの大切さを述べているのだ。

アインシュタインは次のような言葉を残している。
「われわれが直面する重大な問題は、その問題を引き起こした時と同じレベルの思考では解決できない」。

『第3の案』が提案している原則は、
「最も困難な問題を解決するためには、考え方を根本的に変えなくてはならない」ということ、
そして、「二者択一から第3の案へ」という道を歩むことである。

この原則は、現在抱えている問題を克服するだけではなく、
これまで想像もしなかった未来を自分の力で築いて行くことにつなげる方法論を、
さまざまな具体的な事例を挙げて解説しているのだ。

同書の中で紹介されているシナジーが発揮された事例は、
いずれも誰もが夢見る新しい未来を創り出した興味深い実話である。

・問題を抱え何年も絶望の中にあり、自殺寸前までいった娘を、たった一晩で救った父親

・何百万人もの貧しい住民に電気を供給するという問題を、ほとんど金をかけずに解決したインドの若者

・カナダのある大都市の犯罪率を半減させた警察署長

・ニューヨークの汚れた港湾を、ほとんど費用をかけずに生き返らせた女性

・ほとんど口もきかず冷え切っていた日々を笑い飛ばせるまでになった夫婦

・米国史上最大の環境訴訟を、法廷に足を踏み入れるまでもなく、またたく間に平和的に解決した判事

・予算をまったくかけずに、移民労働者の子どもたちが通う高校の卒業率を30%という
  惨憺たる状況から90%に伸ばし、基礎学力レベルを3倍にした校長

・苦しい対立の日々を乗り越え、新たな理解と愛情を育てたシングルマザーとその息子

・一般的な治療費の何分の一かで重篤の患者を治療する医師

・暴力と堕落の温床だったタイムズ・スクエアを北米きっての観光スポットに変身させたチーム

彼らのだれ一人として大金持ちでもなければ、影響力のある著名人でもなかった。
ごく普通の人々が、目の前の最も難しい課題に、
この至高の原則―第3の案を選択して、シナジーを発揮することで解決したのだ。

強まる一方のプレッシャーのもとで、私たちはかつてないほどの敵対関係の中にいる。

家族のいざこざ、職場での対立、ネット上のいじめ、裁判、そして国家間の対立などなど。
このような敵対的な対立―最も困難な問題―をどのように解決したらよいのか。

読み進んで行くと、心の中で、
これまで思ってもみなかった未来に進む転換点に立っている自分を発見し、
自分の中に変化する能力があったと気付かされる。
抱えている問題をまったく異なる観点から捉えられる不思議な確信が湧き上がって来る書だ。


◆コヴィー博士が説く「シナジーに至る4つのステップ」

詳しくは同書をじっくりと読んでいただきたいが、コヴィー博士は、
対立する2者が、相乗効果(シナジー)に至るには4つのステップが必要だと分析している。

(1)質問:第3の案を探す問いかけをする

対立の場面であれ、創造的な状況であれ、
「お互いに考えたことのない解決策を探してみないか?」と問いかけてみる。

この質問をきっかけにして、全員が自分の固定的な立場を離れ、あるいは先入観を捨て、
第3の案の創造に向かって動き出す。

(2)定義:成功基準を定義する

全員にとっての成功がどのようなものかを説明する文を書く。
あるいは、成功の特徴をリストアップする。

どうなれば成功なのか? 本当になすべきことは何か? 関係者全員の「Win-Win」は何か?

(3)創造:第3の案を創造する

閉鎖的にならず、合意やコンセンサスを急がず、
しかし、時間を決めて、思い付いたアイデアをどんどん出す。

モデルを作り、絵を描いたり、図をスケッチしたり、模型を組み立てたりして、草案を書く。

自分と相手の考えを逆様にしてみる。

世間一般の通念にしばられず、他者のアイデアでも自分のアイデアでも、是非の判断をしない。

興奮が湧き起こり、シナジーに達したと実感できる瞬間まで判断は差し控える。

(4)到達:シナジーに到達する

参加者が興奮の渦に巻き込まれたら、第3の案が見つかった瞬間だ。

新しい案は成功基準を満たしており、それまでの対立はなくなる。

※注意:妥協とシナジーを混同してはならない。妥協は満足を生むが、喜びは生まない。
     妥協では全員が何かを失う。シナジーでは全員が勝利する。


◆日本がリードする『第3の案』の時代

京セラ名誉会長で、日本航空会長の稲盛和夫氏は、本書の出版に際して以下のような推薦文を寄稿している。

「私の友人であり、尊敬するコヴィー博士が見事に実証してくれたこの『第3の案』は、
  すべてのリーダーが持つべき原則です」

コヴィー博士の『第3の案』は、生か死かというゼロサム・ゲームではなく、永遠の命をもたらす考え方だと
感じる。

それは、あたかも熟成されたワインのようだ。
ブドウの実には生か死しかなくとも、醸造という『第3の案』を取ることでワインとして何百年も生き続ける
ことができる。
そして、そのワインが、様々な食物とのマリアージュを生み出し、人々に歓喜を与える。
本書は、人と人が、そんなヴィンテージ・ワインのような関係を築けるのだと気付かせてくれる。

懸命な読者の皆様の中には、本書を読む前に、
『第3の案』が日本的な物の考え方に近いと感じる人も少なくないだろう。

まさに、『第3の案』は、もともと日本の文化的・社会的DNAに深く根付いているものに違いない。
しかし、私も含め、多くの人が忘れかけてしまっているのも事実だろう。

今一度、このシンプルかつ深いメッセージを読み取り、実践して行かねばならない。
そうすれば、日本は必ずや世界のリーダーとして復活できると信じたい。

コヴィー博士の『第三の案』は「感動」の書である。

「感動」とは「感じて動く」と書く。現代は感動飽和、あるいは感動失調の時代だ。

善か悪か、YESかNOか、GOかSTOPかという二項対立の状態をブレイクスルーするには、
心を突き動かす感動が必要である。

『第三の案』とは、そのための「感動の種」に他ならない。

一人でも多くの人が本書から感動のウイルス「流行性感動」を得ることで、感じて動いていただきたい。

そして、仕事や人生のさまざまな課題を超克していただきたい。

 

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