多くの中小企業の社長が「決算書をどんなに見ても、会社の中の状況がよくわからない」とおっしゃいます。
損益計算書では、会社全体の利益はわかっても、組立部門や加工部門の利益までわかりません。
つまり、どんなに専門家が見ても、会社の中の各部門の活動状況までは、読み取ることが出来ないのです。
その昔、有名な経営者が「決算書をどんなに見ても、社内のドラマが読めない。それで、部門別採算表を
つくってみたところ、部門ごとの活動状況が手にとるようにわかってきた。社長たる者、決算書の
中のドラマが読み取れるものをつくって経営していかないとだめだ!」とおっしゃいました。
では、中小企業において、決算書の中のドラマが読めるものをどのように作っていけばいいのでしょうか。
図表(?、?左)を見て下さい。このような現場の取引に基づいて、損益計算書を作ってみました。これに
よりますと、60万円の利益が出ています。しかし、お金は、150万円入ってきて、230万円が出ていき
ますから80万円足りません。この表をどんなに見ても、お金がないことを読み取ることは出来ないのです。
しかし、現実はこんな損益計算書を経理から見せられているのです。
そして、「なぜお金がないんだろう?」と疑問に思っている社長がたくさんおられるのです。
それでは、どうすればお金がないことがわかるのでしょうか。そこで、右側の採算表(?右)につくり替えて
みます。すると、本当の利益の項目(キャッシュフロー)が、80万円のマイナスになっており、お金がない
ことがわかります。
つまり、この会社の最終利益の60万円は、在庫140万円をプラスすることにより出ていたのです。
次に、社長がどうしても知りたいことは、お金不足の原因が加工部門にあるのか、組立部門にあるのかという
ことです。これを知るために、各部門ごとの採算表を作ってみることにしました。
加工部門(?右)は、本当の利益と最終の利益とが30万円で、利益が出ていてお金が残っている状態です。一方、
組立部門(?左)は、売上が90万円しかないのに、材料費を200万円も使っており、お金が110万円足りなく
なっています。
その理由としては、注文が3個しかないのに材料を10個買っていて、7個在庫になっているからです。
7個の買い過ぎによって、お金が110万円もなくなり、在庫を140万円も増加させているのです。その結果、
30万円の利益が出ているのに、110万円のお金が足りなくなっているのです。
これを見れば、会社にお金のない原因は、組立部門にあることがよくわかります。
このように、会社の中を見える化していくことによって、経営改革への次の一手が打てるのです。
その昔、「決算書の中のドラマを読み取れ!」とおっしゃった有名な経営者の言葉は、まさにこのようなこと
だったと聞いております。



田村 繁和氏
株式会社経営ステーション京都代表取締役。京セラ株式会社(元)監査役。公認会計士・税理士。
早稲田大学卒業後、大阪国税局国税調査官を経て、経営ステーション京都を創業。
2005年6月、京セラの監査役に就任(〜2009年)
京セラ実学をベースとした中小企業のためのわかりやすい経営と会計を提案。
実学にもとづく、キャッシュフロー経営と部門採算制での経営会議で、
会社が生まれ変わっていただくことを使命としている。
最新刊DVD 『会計経営と実学』 の他、著書に、
「京セラに学ぶ新・会計経営のすべて」(共著、実業之日本社)
「社長の疑問に答える会計の本」(共著、中経出版)
「お金を残す強い会社の101の教え」(共著、清文社)
「小さな会社の必ずお金が残る経営の本」(共著、実業之日本社)他多数。
小長谷 敦子氏
株式会社経営ステーション京都。公認会計士・税理士。
早稲田大学卒業後、西武百貨店を経て、結婚・出産後、公認会計士・税理士となる。
京セラ実学をベースとした独自のコンサルティングで、中小企業のためのキャッシュ
フロー制度の構築と経営会議の指導に定評がある。
「子育て主婦の公認会計士合格記」(中経出版)
DVD「実学に学ぶ お金を残す3つの秘訣」(清文社)



