●近大卒の魚と紀州の恵み 近畿大学水産研究所
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- 第122回 マグロの養殖
FAO(国連食糧農業機関)の集計では、主要マグロの漁獲量は2003年頃をピークに減少、中でも高級魚のクロマグロ(太平洋クロマグロと大西洋クロマグロ)、ミナミマグロの漁獲量は1996年をピークに減少しており、各国は地域漁業管理機関(RFMO)を設立して、漁獲制限などの資源保護を進めている。
また、2009年に結果的には否決されたものの、モナコにより大西洋クロマグロをワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)付属書Ⅰ(商業目的の国際取引の全面禁止)に掲載する提案も出された。
これに対して、各国ではマグロ養殖事業も行なわれているが、そのほとんどは天然マグロの稚魚を捕獲し、イケスで売れる大きさに育てるというものでマグロ自体を増やせるわけではない中、近畿大学は1970年からクロマグロの完全養殖に向けた研究を始め、和歌山県串本の大島実験場で2002年に完全養殖に世界で初めて成功、2007年から人工種苗を販売も始めており、世界のマグロの70%を消費している日本にとっては頼もしい存在となっている。
養殖マグロは成長速度が天然の倍ぐらい早く、品質が揃い、価格が安定しているし、需要に応じて計画的に出荷できるという利点もあり、今後もますます増えてゆきそうだ。
■近畿大学水産研究所
この近畿大学水産研究所が養殖したクロマグロは、これまでもデパートの鮮魚売り場などでは販売されていたが、飲食店には出ていなかったため、近畿大学はサントリーグループの協力を得て、昨年大阪と東京に飲食店をオープンし人気になっている。
昨年4月26日に大阪駅北ヤードにオープンした1号店のグランフロント大阪店は、ランチには100人の行列ができる盛況で9ヶ月間で、10万人の来店を達成、12月4日に東京銀座にできた2号店も連日行列ができている。
私は銀座店に夜行って食べてきたが、お刺身には築地から来る鮮魚に対して、近畿大学を卒業した「学生」である養殖魚という形をアピールした「卒業証明書」が付いていて面白かったし、味もお作りと中落ちを食べたが、さっぱりとして美味しかった。
「近大マグロと選抜鮮魚のお造り盛り」(2,800円~)を始めとして、和歌山の郷土料理「めはり寿司」(550円)などもあり、いろいろと楽しめるメニューも揃っていた。
日本人が消費する年間40万トンのマグロの内、近大の養殖マグロはまだ全体の10%ぐらいなので、今後は日本の消費量の半分をまかない、NYにも出店して世界ブランドに育てていきたいという夢も持っているとのことだ。
======== DATA =========
銀座店
所在地:東京都中央区銀座6丁目2番先 東京高速道路山下ビル2階
電話:03-6228-5863
営業時間:ランチ 11:30~14:00、ディナー 17~23時
大阪店
所在地:大阪市北区大深町3-1 グランフロント大阪ナレッジキャピタル6階
電話:06-6485-7103
営業時間:ランチ 11:00~15:00、ディナー 17~23時
経営:株式会社アーマリン近大
企画・コーディネート: サントリービア&スピリッツ株式会社
近畿大学水産研究所