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第63回 2017年は有機ELテレビ元年!

第63回 2017年は有機ELテレビ元年!

白黒ブラウン管から始まったテレビ受像機は、その後、カラー化、薄型化(プラズマ方式)といった大変革を経て、今や薄型大画面の液晶が当たり前の時代に。
テレビの登場は生活を一変させる歴史的な出来事として別格ですが、今なら当然のカラー映像や薄型テレビも、登場当時は世の中に大きなインパクトをもたらしました。
そんなテレビの次なる革命が、「有機EL」で、2017年に大きな話題となりそうです。
今回は、そんな有機ELテレビの基礎知識や製品情報をお伝えしつつ、日本経済への好影響など、未来を予測します!
 
 
 
■有機ELテレビとは?
有機ELテレビは、「自発光」と呼ばれる、自ら光を放つ有機EL素子(海外ではOLEDと呼ぶケースが多い)を利用した画面を持つテレビです。
これに対し、現在主流の液晶テレビは、画面の後背部にバックライトと呼ばれる光源を持ち、その光を液晶シャッターで部分的に遮断することにより、画柄や色を表現している点で大きく異なります。
自発光の有機ELは、構造がシンプルにできるので、画面の薄型化に適し、また、光のロスが少なく低消費電力にも向いています。画質面でも、原理的に、斜め横からでも映像の見え方に変化が少なく、引き締まった黒と高い色純度を期待できるなど、優れた特性を備えています。
 
 
 
 
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例えば、特に夜景や星空のような画柄では、背景の黒と光源の煌めきのコントラストが肉眼で本物の風景に見る状態に近く、感動的な美しさを体験できます。
(液晶テレビは、シャッターから漏れるバックライトの光が、真っ黒であるべき部分も薄明るく表示されたり、色を薄くしてしまう課題が残っています)
このように、有機ELは、テレビの進化における節目といって過言ではないのです。
 
 
 
 
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■2017年は有機ELテレビ元年に!
実の所、有機ELテレビ自体は2007年にソニーが11型の「XEL-1」を世界初で製品化するなど、新しいものではありません。普及しなかった理由は、「寿命」と「コスト」が、家庭用として採用できるレベルに達していなかった為です。
 
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【写真】世界初の有機ELテレビ ソニーXEL-1(2007年末発売で当時の価格は20万円)
 
 
その後、技術開発が進み、スマートフォンなどの携帯機器から有機EL画面が徐々に浸透。近年ではLGエレクトロニクスから大型テレビ製品も登場しました。登場当初は高価でしたが、今では、最高級液晶テレビと同水準にまで落ち着き、一般消費者の選択肢として浮上しています。
2017年には、他社の追随によって製品の選択肢が増え、また、競争による価格下落も期待できることから、「有機ELテレビ元年」になると筆者は見ています。
 
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【写真】LGエレクトロニクス 55型4K有機ELテレビ「OLED55E6P」 (実売価格は60万円前後)
 
 
 
 
■有機ELで世界から注目を集める日系企業。
有機ELディスプレイを採用したスマートフォンやテレビは、サムスンやLGといった韓国メーカーが先行しています。特にLGは、小型から大型まで、幅広いサイズの有機ELパネルを安定して供給できる体制を整え、圧倒的な存在感を放っています。
一方、有機ELパネルで重要な発光体(有機化合物)の技術開発や供給では、出光興産など日系企業が有力。消費者が手にする最終製品は、海外メーカーの比率が高まっていますが、日系企業も縁の下の力持ちとして注目を浴び、有機EL関連の報道がある度に株価も反応しています。ほかにも、製造装置や周辺技術など、技術力を蓄積してきた日系メーカーに1日の長があります。2017年が有機EL元年になれば、国内の関連企業も潤いそうです。
 
 
■有機ELが変える未来
有機ELは高画質だけでなく、低消費電力や薄型化にも適しています。フィルムのように薄く折りたたみが可能なディスプレイも実用化目前で、2017年には、手帳にように開けば大きな画面になるスマートフォンも登場しそうです。今注目のARやVRのディスプレイとしても適した性質を備え、また、電気モーター駆動や自動運転化が進む自動車内の情報表示装置としても重宝されるでしょう。
10年先には、壁全体を覆う照明やディスプレイも、現実的な消費電力で実現するかもしれません。フィルムのように薄く作れるので、掛け軸のように巻き取り可能な超大型画面も期待できます。
映像表示装置としては、液晶も研究開発が進んでいて、有機ELと対抗する可能性もあります。また、MEMSシャッターディスプレイなど、全く異なる方式もたくさんあります。今後は、画面サイズ、用途、コストなどの条件に応じて、複数の方式が共存することになるでしょう。しかし、その中でも、有機ELは構造がシンプルで低消費電力化とコスト低下が見込める優れた方式と言え、この先しばらくは、有機ELが主役となりそうです。
 

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経営コラムニスト紹介

ディーエーシージャパン 鴻池賢三氏

鴻池 賢三氏  ディー・エー・シー・ジャパン

株式会社オンキヨーにてAV機器の商品企画職、米国シリコンバレーのデジタルAV機器用ICを手がけるベンチャー企業を経て独立。 現在、WEB・テレビ・雑誌等のメディアを通じて、AV機器の評論家/製品アドバイザーとして活躍中。その他、「ディー・エー・シー ジャパン」を設立し、AV機器関連企業の商品企画コンサルティングや、日本唯一のTHX/ISF認定ホームシアターデザイナーとして、商業施設から個人のホームシアターまで、AVの視点から空間の提案やアドバイスなども手がける。 2009年より、日本オーディオ協会「デジタルホームシアター普及委員会」委員、映像環境WG主査。 2010年より、ビジュアルグランプリ審査員(主催: 音元出版)

【主な著作】
オールアバウト「ホームシアター」
http://allabout.co.jp/gm/gt/53/
イミダス「オーディオ・ビジュアル」2007年~(集英社imidas) 「AV REVIEW」(音元出版) (鴻池賢三のハンズオン映像調整講座~画質が100倍良くなる映像調整術ほか)

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