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第85回日本の埋もれた工場を表舞台に送り出す『Factelier(ファクトリエ)』

第85回日本の埋もれた工場を表舞台に送り出す『Factelier(ファクトリエ)』

 

Factelier(ファクトリエ)

 

日本の埋もれた工場を表舞台に送り出す

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「試着したい」という要望を受け、オープンした銀座のフィッティングスペース

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看板商品の男性用ワイシャツ。クールビズ時に最適なポロシャツもある

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ジーンズなど商品のかたわらには、製造工場にまつわるエピソードが

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工場で実際に使われているミシンや、原料の糸なども展示。製品への愛着が湧く


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ファクトリエのワイシャツを身に纏うのは山田社長。経費節約で自らモデルを務める

 

■縫製工場や織物工場のファクトリーブランドづくりをサポート
メイドインジャパンの洋服が急激に減少している。経産省の調査によれば、アパレル品の国産比率は、1990年は50.1%だったのが、2009年には4.5%まで激減したという。

日本には優れた技術を持つ縫製工場や織物工場がまだまだ存在する。小さな会社ながら、欧米の高級ブランド服をOEM生産している会社も少なくない。ただ、それらの企業は、“裏方”であったために、オリジナル製品の企画力や販売力、ブランド構築力がなく、高い技術力を活用しきれていなかった。このままでは、そんな優良工場すら廃れるかもしれない。
 
そうした日本の工場をサポートするために、2012年に誕生したのが、「Factelier(ファクトリエ)」だ。工場によるオリジナルブランド「ファクトリーブランド」を共同でつくりあげる手助けをし、販売できる「場」も提供する。2年目にして早くも6000万円を売り上げている。
 
商品開発から販売までの流れは次のとおりだ。まずは、ファクトリエが工場を発掘する。高級ブランドのOEM生産をしているか、それに匹敵する実力を持っていると思われる日本全国の工場を直接訪ねて、ファクトリーブランド品の製造を打診するという。
 
契約後は、工場と相談しながら、商品づくりをする。「その工場の実力を最大限に発揮してもらうために、原価のことは考えなくて良いから、持てる技術をありったけつぎ込んで欲しい、と伝えています」(代表の山田敏夫氏・以下同)。ポイントは、ファクトリエと付き合いのある著名ファッションディレクターやスタイリストが商品の監修をしてくれることだ。干場義雅氏や大草直子氏はその一人。彼らの協力を得ることで、工場はデザインの面においてもポイントを押さえた製品をつくれる。
 
完成した商品は、基本的に、ファクトリエのWebサイトでのみ販売する。商品紹介ページで、その工場の製造秘話などをじっくり語ることで、商品の良さをひきたてる。どれも最高級の素材や縫製技術を用いた商品ばかりだが、卸などを通さないので、リーズナブルな価格で販売できる。たとえば、熊本のHITOYOSHIという工場が製造する男性物のワイシャツは、高級ブランドのタグが付けば3~5万円するが、ここでは約1万円だ。その他にも、カーディガンやジーンズ、トレンチコート、ネクタイなど、さまざまな製品の工場が、オリジナル製品を販売している。「多くはブランド服の1/3程度の価格で販売しています。初回生産時に売れ残った場合には、弊社が半分買い取ることで、工場のリスクを減らしています」
 
こうした高品質でリーズナブルな製品が、多くの顧客に支持された。「お客様の平均年齢は39歳。普段は、セレクトショップや百貨店で買っている方が多いようです。独身時代は高価な服を買えたけど、結婚して自由にお金が使えなくなった、という方が多いようですね」
 
■一人で工場を発掘。理念に共感し自然と集まる協力者の存在も。
山田氏がこのビジネスを始めたきっかけは、日本の一流ブランドをつくりたいと考えたことだ。熊本の老舗呉服屋に生まれた山田氏は、大学時代にフランス・パリのグッチで働いていたとき、同僚から「グッチやエルメスなどファクトリーブランドから成長したのが真のブランド。日本にはそれがない」と言われたのを機に、そんな夢を抱いた。勤めていたIT企業を28歳でやめ、一人で工場の発掘を始めたそうだ。アパレル業界にコネがなく、高級ブランド品を製造する工場が分からなかったことから、産地に夜行バスで行き、現地のタウンページを見て、手当たり次第に電話をかけた。また、繊維工業団体に頼んで、寄り合いの時にプレゼンをさせてもらったという。
 
第1号商品のワイシャツは、当初、月に10枚前後しか売れず、不安な滑り出し。しかし、有名デザイナーやスタイリスト、著名人が「日本の技術を守る」という理念に共感、賛同しれくれたこともあり、自社サイト上で製品の推薦をしてくれるようになった。また、著名ファッション誌や全国紙だけでなく、提携する工場の地元地方紙などにもリリースを送ってメディア露出を高めると、認知度が高まった。加えて、たまたま購入した有名人がネット上で薦めてくれたことも追い風になり、開業3カ月後には順調に売れるようになった。
 
2014年12月には、「試着したい」という要望を受け、銀座にフィッティングスペースをオープンした。試着して気に入ったら、店内のタブレット端末からWebサイトにアクセスし、商品を買うという仕組みだ。1カ月で450人が訪れたという。
 
今後は、サイトやフィッティングスペースだけでなく、提携工場の近くのテーラーでも商品を販売していきたいと語る。九州のある市の小さなテーラーで実験したところ、高価なワイシャツが月100枚売れたという。「この売上は、東京の有名セレクトショップと同じぐらいの数であり、破格の数字。工場だけでなく、地方のテーラーの復活にも貢献できればと考えています」
 
ファクトリエの例を見る限り、インターネットが普及した今も、埋もれた技術や企業はたくさんあるようだ。それらを発掘し、世に出る手助けをすれば、大きなチャンスをつかめるかもしれない。(カデナクリエイト/杉山直隆)
 

◆社長の繁盛トレンドデータ◆
【店舗データ】
ファクトリエ 銀座フィッティングスペース
東京都中央区銀座8-12-11 第二サンビル3階
電話番号:03-5843-8786
営業時間:12:00~19:00
定休日:月曜日(祝日の場合は火曜日)

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雑誌、書籍、PR誌の編集プロダクション。『月刊ビッグ・トゥモロウ』(青春出版社)、『週刊東洋経済』(東洋経済新報社)などで執筆。その他、PR誌、社内報などの制作を手がけている。著書『小資本で、でっかく儲ける法則』『「イベント」で繁盛店』(同文舘出版)。執筆協力には『大失業時代の勝ち残り経済学』(青春出版社)『とげぬき地蔵経済学』(メディアファクトリー)『かけがえのない「スキル人間」になる』(光文社)をはじめ多数。

株式会社カデナクリエイト ホームページ
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