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第65回(原点に戻る 漫楽園」)

第65回(原点に戻る 漫楽園」)

 
 

 ◆漫楽園◆ 


「原点に戻る」

 

『漫楽園』入り口。新しい試みに対する告知は、ポスターなどでこまめに行っている。

漫画の仕入れも手がける受付の女性スタッフとオーナーの西川氏。女性スタッフは声優の卵でもある。スタッフに個性があるから、漫画の品揃えにも個性が出る。ちなみに西川氏は高級レストランからクラブディスコまで経験した飲食のプロ
   

沖縄コーナー。東京で流通してない珍しい漫画が沢山。珍しい漫画の仕入れは、珍しい日本酒やワインの仕入れに似てるという

ミニコミ専門書店「模索舎」と提携したミニコミ誌の販売コーナー。買わずに読むだけでもOKだ
   
純喫茶の雰囲気が残る懐かしい空間は、なぜか落ち着き、ついつい長居をしたくなる。
定期的に開催されるイベント『マンガナイト』。「年代別マンガリーディング」「マンガメシ」などテーマ設定もユニークだ。
 
 


次々に日本に進出してくる海外ブランド、大資本をバックに価格競争を仕掛けるチェーン店、才能とセンスで勝負に挑む個店…。店舗間の競争は激しくなる一方だ。こうした厳しい環境の中で特に苦戦しているのが老朽化が進んだいわゆる「商店」だろう。今から3年前にオープンした東京・神保町の漫画喫茶『漫楽園』は、そうした既存店舗の参考になる店だ。
 

同店の前身は、今から16年前にオープンした東京初の漫画喫茶。純喫茶を居抜きで使ったというその店は、パソコンを置いてない昔ながらのスタイルの漫画喫茶だ。店の老朽化、客の高齢化、さらにネットカフェの台頭で売上は年々減少していた。ところが、『漫楽園』に変わってから、売上は115%、120%とジワジワと上りはじめた。また、客数も1日90数人からから120人以上に増加した。今年も客数は依然伸びている。
 

すでに、多くの人は「漫画喫茶」と言えば、『ネットカフェ』を思い浮かべるようになった。『ネットカフェ』の特色は、個室、24時間営業、映画、音楽、ゲームなどネット環境の充実、シャワー完備、宿泊可能…。実に多様なサービスが整っている。
 

「つまり、ネットカフェにとって、漫画は単なるオプションの一つに過ぎないわけです」と『漫楽園』のオーナーの西川嘉津美さん。それでは、「漫画喫茶」とは何だろうか。西川さんは、それを考え続け、最終的に「漫画と喫茶の楽しさを創造すること」を愚直に追求した店づくりをすることにした。
 

漫画については、まず、入り口近くにディスプレイ台を置き、漫画好きのアルバイトと相談しながら、例えば『ガロ』系のマニアックな漫画を飾ったり、書店には売っていないミニコミ誌を並べたりした。また、西川さんは沖縄好きだったので、琉球新報で連載している4コマ漫画をはじめ、沖縄の新聞社や出版社が発行した作品を集めたり、沖縄の漫画だけを配信しているケータイサイト「コミックチャンプル」、着メロサイト「ちゅらサウンド」と提携したりして、夏には沖縄フェアを開催するようになった。
 

また、神保町という場所柄、人がほとんどいない夜の時間帯は、喫茶店という広いスペースを利用して、漫画家のトークショーなども開催するようになった。漫画の品揃えに特徴が出れば、文化的な雰囲気になり、有名漫画家も、一種の漫画振興として協力してくれるようになるわけだ。漫画にちなんだ軽食を出す「マンガメシ」といったユニークな企画を次々に打ち出すことで、漫画好きの客の間に『漫楽園』の知名度は広がっていった。現在では、漫画関連のイベントの貸し会場としても利用されるようになった。その後、西川氏は企画を請け負う任意団体「Asia’n Complex Production」http://acproduction.org/を設立し、漫画・イラストを通じた様々なイベント企画・運営なども手がけるようになった。
 

運営内容についても、幾つかの変更を加えた。まず、飲み物については、前店舗時代から飲み放題で価格は1時間400円だった。格安コーヒー店がある時代、この価格では喫茶目当ての客を呼び込むのは難しい。そこで、料金体系を15分100円~に改めた。さらに、今年からコーヒーのグレードを大幅にあげた。喫茶店と遜色のない味にしたことで、朝の一服、朝の一杯など喫茶店としての利用客も急増したという。飲食店の許可が取れ次第、ビールも出す予定だ。それによって、さらに客は増えることが期待できそうだ。
 

同店の業績は、「漫画」と「喫茶」という『漫画喫茶』の原点に戻り、また、店主やスタッフの個性が反映される個店の強みを活かしたことで好転しはじめた。同様に、原点を見つめ直すことによって復活しそうな業種は沢山ありそうだ。(カデナクリエイト/竹内三保子)

 

◆社長の繁盛トレンドデータ◆

『漫楽園』
東京都千代田区神田神保町1-19 すずらん通り ポニービル2階
TEL:03-5280-5666
営業時間 10時 - 22時 年中無休

http://manrakuen.com/

 

 
 

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『週刊東洋経済』(東洋経済新報社)などで執筆中。
その他、PR誌、社内報などの制作を手がけている。
著書は『小資本で、でっかく儲ける法則』『「イベント」で繁盛店』(同文舘出版)。
執筆協力には『大失業時代の勝ち残り経済学』(青春出版社)
『とげぬき地蔵経済学』(メディアファクトリー)
『かけがえのない「スキル人間」になる』(光文社)などがある。

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