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不動産

第92回 第一印象を良くするメーターボックス

売れる住宅を創る 100の視点

今回も前回と同じフェーズ8「 モノづくり 」の「 こだわり 」です。その第5項目の『 内覧会で売主側の要注意事項 』4項目中の最初の第1項目である『 第一印象を良くするメーターボックス。 』に関してのお話を致します。
 
前回はフェーズ8の「 モノづくり 」に於いて、住まいの『 ハード面の重視 』の大切さを認識して戴く目的でこのコラムに於いて25項目用意致しました中の、最後の第25項目『 バルコニーの隣戸間、隔て板下端の隙間は5センチ未満 』の御説明を致しました。
 
今回は「 分譲マンション 」に於いて工事監理や建築工事内容等の良し悪しに依って、既に購入された方から売主及び事業主の「 モノづくり 」に関して内覧会への配慮や姿勢が問われていますので、『 第一印象を良くするメーターボックス。 』の内容を皆様に詳しく御説明致します。
 
さて、今回も建築家として、私が最も得意とする「 モノづくり 」における商品企画や基本計画等と共に設計者としましての工事監理に於いて、工事竣工時点での大切な細かい「 こだわり 」の御説明であります。
 
「 分譲マンション 」や「 分譲戸建 」の住戸の商品計画への「 モノづくり 」に対する「 こだわり 」に於いて事業主( 売主 )が購入者( 入居者 )へ配慮された商品が製造されているか否かが、既に購入された方々にとって大変大きな事業主( 売主 )の判断基準になりますので、今回もよく御覧下さい。
 
さて、このコラムで毎回申し上げていますが、この処大手ディベロッパー、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの顕著な傾向は、購入者( 入居者 )へ配慮有る良い商品を作って分譲している良心的なディベロッパーと、販売力の強さや数字のみに頼って「 新規分譲マンション 」や「 新規分譲戸建 」等を企画・販売しておりますディベロッパーとの「 2極分化 」がかなり進みそれが顕著になってきております。
 
現在、販売力の強さと数字のみに頼って分譲している事業主( 売主 )に於いては、かなり多くの完成在庫住戸を抱え苦戦を強いられています。
その結果売れずに大手ディベロッパーでさえも、竣工後1~3年以上の「 完成在庫住戸 」が多いのが現状です。
 
ですので「 完成在庫住戸 」を完売させる為にも、今回の『 第一印象を良くするメーターボックス。 』は参考になりますので熟読して欲しいと思います。
 
更に、現在の不動産業界は益々、資本主義の原点である「 弱肉強食 」の傾向が強くなり「 超大手、大手ディベロッパーの寡占化 」がどんどん進み、その結果、販売する物件に購入者( 入居者 )への配慮が乏しい準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパー等が超大手ディベロッパーに吸収合併させられております。
 
準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーが、これら将来にわたり、それらの超大手や大手の会社に対し、独立独歩で対峙し勝負するには、分譲予定物件の商品企画等の「 質 」と「 モノづくり 」はトコトン細かい所まで購入者への配慮をし、「 こだわり 」や「 誠意 」を持って魅力有る商品を作り、完成させなければ価格競争の渦に巻き込まれてしまいます。
 
そして、損益を計上し「 倒産 」( 破産では無い )の危機をむかえるのでは…と危惧致しております。
 
そうならない為には、購入者への細かい配慮( 誠意・こだわり )が感じられる「 新規分譲マンション 」や「 新規分譲戸建 」を供給していかなければ生き残れないでしょう。
 
準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーは「 新規分譲マンション 」の「 設計基準書 」や「 マンション工事基準書 」を独自に製作し、毎年見直して良い方向へ変えなければなりません。
 
具体的に申し上げれば、購入予定者が事業主( 売主 )の「 こだわり 」や「 誠意 」等の配慮を敏感に感じとり、購入意欲が湧いてくる物件を分譲する様な会社にしなければなりません。
 
そして入居後も購入者( 入居者 )が満足し、クレームの起きない良い商品を作り続ける事で知名度を上げなければならないでしょう。
 
私の経験では、例え万が一、クレームが生じましても、購入者への対応を迅速に誠実に行えば「 雨降って地固まる 」で誠意や信頼度の回復が可能なのです。
 
事業主( 売主 )の誠意と信頼が感じられ入居後もクレームの起きない良い商品を作り続ける事に依り潜在顧客の信頼度も高まりますので、価格や「 ブランド 」での販売競争にならずに済むのです。
 
その結果、不動産業界や一般社会に於いても良い評判を立てる事ができますので、生き残れる道だと実感しております。
 
これらの事を継続されていれば、自ずと会社の信用度が高まり「 ブランディング形成 」( ブランドを高める事 )に結びつき「  超大手、大手ディベの寡占化  」に対抗できます。
 
その様に事業を続けていけば、準大手ディベや中堅ディベが、超大手、大手ディベに対峙し対等に勝負できる個性の有る会社になると私は確信しております。
 
そして、今回御説明致します顧客への細かい配慮である竣工・引き渡し時点に対応致します内覧会に於いて『 第一印象を良くするメーターボックス。 』を御覧戴いて「 新規分譲マンション 」建物の工事監理や工事内容等に反映されれば、魅力的で同業他社物件と差別化された良い商品になるのでは…と思い御説明致します。
 
この様な細かい配慮の有る商品を長期間供給し続けていけば、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーも不動産業界だけでなく、一般の社会に於いても会社名や「 ブランド 」名の知名度も上がり販売におおいに寄与すると確信致しております。
 
ですので、今回の私のコラム92号『 第一印象を良くするメーターボックス。 』を参考にされて細かい配慮の有る「 モノづくり 」を継続する事は、不動産業界の中で超大手や大手ディベロッパーと同様、又はそれ以上に世間は評価すると思います。
 
それでこそ、準大手や中堅ディベロッパーが生き残れる唯一の道だと私は確信しております。
 
「 継続は力なり 」です。そして特に準大手や中堅の売主及び事業主には、このコラムでは毎回申し上げていますが「 誠実に勝る近道無し 」を心がけて戴きたいものです。
 
もはや現在、日本全国で約900万戸以上、首都圏( 東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県 )だけでも約300万戸弱以上もの空き家が有る不動産業界で、準大手や中堅ディベロッパーが超大手や大手ディベロッパーに勝てるのは供給戸数の数よりも商品企画や工事内容等で顧客への配慮が有る「 質 」や「 こだわり 」だけだと確信しております。
 
その様な「 良質 」の商品を世に出す為にも、今回のタイトルの「 モノづくり 」第5項目の『内覧会で売主側の要注意事項 』4項目中の最初の第1項目であります今回のコラム『 第一印象を良くするメーターボックス。 』の内容を事業主( 売主 )や設計者が建設工事の終了段階で取り入れて戴ければ、購入者( 入居者 )への細かい配慮の判断基準となると信じております。
 
今回の内容は、特に潜在顧客の売主評価の判断に多いにつながる大切な事です。
 
手前味噌になりますが、今回も私が今迄約30年以上手がけました「 新規分譲マンション 」や「 新規分譲戸建 」等の設計業務、工事監理業務や設計監修の経験に基づいた「 経験工学 」で大変貴重なお話なのです。
 
準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの方々は、特に今回のコラム92号『 第一印象を良くするメーターボックス。 』の内容を良く理解し「 新規分譲マンション 」等の建築工事内容に十分取り入れて下さい。
 
そして更に、これも毎回何度も申し上げていますが、「 新規分譲マンション 」や「 新規分譲戸建 」の計画時点で実行して戴きたい事が有ります。
 
それは、私が今までの設計業務や設計監修業務の経験を踏まえて申し上げたい事で、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーは、絶対に『 製造・販売一体 』の体制で商品企画を行う事です。
 
「 新規分譲マンション 」や「 新規分譲戸建 」等の商品企画会議では製造部門と販売部門が一体になって戴きたい事です。
 
その理由は販売部門が顧客の生の声を商品企画会議で発言し製造部門に伝え、その内容が良ければ商品説明の内容等に反映できるからなのです。
 
更に、「 分譲マンション 」に於ける内覧会への対応である『 第一印象を良くするメーターボックス 』の良さも具体的に販売部隊の方々も良く理解できて、顧客に対して自信を持って同業他社の物件への差別化を「 セールストーク 」できるからなのです。
 
前置きがいつも長くて申し訳ございません。
 
今回は分譲物件の内覧会に於いて、重要な配慮であります『 第一印象を良くするメーターボックス。 』をこれから具体的に御説明致します。
 
今回は特に購入者( 入居者 )が既に購入された「 新規分譲マンション 」の内覧会を行う際の事業主( 売主 )サイドにとって重要な配慮の事です。
 
最近、「 内覧会同行 」チェックを業務とする設計事務所や専門業者が増えてきました。
 
私も3~4年前までは「 新規分譲マンション 」を購入された方々より「 内覧会同行 」チェックの依頼を全て受け、行なってきましたが、最近は遠慮する物件が多くなりました。
 
その理由はファミリータイプ「 新規分譲マンション 」の場合は仕様や仕上げがほとんど同じで、
見るべき進歩された箇所がほとんど無い事です。
 
また、建築関係の同業者( 設計事務所、ゼネコンや設備業者 )の粗探しをしている様で申し訳ない気持ちになるからです。
 
ちなみに、業界で新しい住戸間取りや新工法等で話題になった「 新規分譲マンション 」の「内覧会同行 」チェックしか御受けしない様にしております。
 
建築業界では出来の良い工事は、現場の整理整頓が行き届いていてきれいにしてある…と言われています。
 
またゼネコンや設計事務所の「 新規分譲マンション 」の竣工検査に於いて各々の住戸で最初に検査する場所は「 メーターボックス 」なのです。
 
この「 メーターボックス 」内の配管や配線がきれいで、ゴミ等が無いと、その建物全体の工事が良い出来なのです。
 
「 内覧会同行 」チェックの業者も最近は、ほとんど最初に各住戸の「 メーターボックス 」チェックだそうです。
 
ですので「 メーターボックス 」内の配管等の出来が悪く、或いはゴミ等が有りますと、自ずと住戸内も隅々まで粗探しがはじまり、その物件の評価が落ちます。
 
事業主( 売主 )、設計事務所やゼネコンは購入者( 入居者 )の「 内覧会同行 」チェック前には十分に自主検査を怠らない様に注意して下さい。
 
さて、ここで私が以前「 内覧会同行 」チェックで、驚く事を発見致しましたので、皆様に参考になると思い披露致します。
 
以前「 内覧会同行 」チェックを致しとんでもないミスを発見致しました。
 
ちなみに、私の内覧会同行チェックは基本的に「 傷 」や「 汚れ 」は依頼者の方に見つけて頂いています。
 
私は建築的な納まりが妥当であるか設備との取り合いや配管が正統に設置されているかを重点的に検査致します。
 
あと住戸のメンテナンスが出来るかをもチェックいたします。
 
まず、私は「 内覧会同行 」チェックでまずメーターボックス内を見る様にしております。
 
この中にゴミやビス等が放置されていたり、中のコンクリート壁の仕上がりが荒く凸凹していたりしていますと、住戸内の仕上がりも想像できてしまい構えてしまいます。
 
先程申し上げた、驚くべき発見の物件とは、世田谷区の1住戸7千万円弱する物件でした。
 
この物件の「 内覧会同行 」チェックの依頼が有り建物の中に入って廊下を歩いてみましたら、高級マンション( 億ション )と同様に屋内廊下でホテルライクになっていて好感が持てましたが裏切られました。
 
依頼者の住戸のメーターボックスと隣戸のメーターボックスが並んでいました。
 
そして依頼者のメーターボックスの扉を開け中をみましたら、まあまあきれいに掃除してありました。
 
メーターボックスの内部は上から電気メーター、ガスメーターが設置され、水道メーターは未だ設置されていませんでしたがその設置される位置に一次管( 水道竪管からくる給水管 )とメーター以降の専有の二次管が一時的につながっていました。
 
このメーター以降の二次管の行方を見ますと屋内廊下の天井裏の方に配管されていまして、住戸内の方に配管されていません。
 
不思議に思って並んでいる隣のメーターボックスの扉を開け水道管の二次管の経路をみましたらそちらの管が依頼者の住戸内に配管されていたのです。
 
心配になりまして依頼者の住戸の台所の水栓を空けて水を流してもらい依頼者のメーターボックス内に有る水道元栓を閉めましたが水の流れが止まりません。
 
隣の住戸の水道の元栓を閉めたら水の流れが止まりました。更に心配になり電気メーターの二次配線とガスメーター以降の配管をチェック致しました。
 
それらは依頼者の住戸の方に配線、配管して有りましたがこの点も検査して依頼者の住戸内の分電盤の中に有るメインブレーカーを落としてもらい電気メーター内の円盤が止まるかどうか確認致し問題は有りませんでした。
 
ガスの配管テストも行い台所のコンロに火をつけてもらい、メーターボックス内のガスの元栓を閉めたら火が消えたので問題は有りませんでした。
 
そして私は水道メーター以降の二次配管は隣戸につながっていますのでこれを外して、依頼者側の水道メーター位置に変更し、現在依頼者の水道メーター以降の二次配管を外して隣戸の水道メーター位置に接続して下さいとゼネコンの同行者に御願い致しました。
 
そう申し上げたらゼネコンの方は水道メーターだけは隣戸のメーターボックスに入っているメーターの住戸番号を付け替えたらどうですか、というとんでもない回答が返ってきました。
 
ずーっとこの顛末を見ていた依頼者は怒り心頭になり「 碓井さんが気付かなかったら私は永遠に隣戸の水道代を払っていた訳ですからこれは絶対に配管を直して下さい。 」と言葉荒げに是正指摘をしていました。
 
更に依頼者はメーターボックスに入っている電気、ガス、水道メーターは同一住戸のものでないと検針する人も間違えてしまいますし、水道メーターだけ隣戸のメーターボックスを開けて見ろというのは異状ですとまで言っていました。
 
どうしてこの様な事が起きるかが問題です。
 
それは多分想像ですが、設備工事をした設備工事業者の配管施工図のチェックが甘かったのと、ゼネコン及び売主の技術屋さんの検査がズサンであった事を証明しています。
 
上記の様な事は初めての経験でしたが、ゼネコン及びサブコン( 設備工事業者 )のズサンさと、事業主( 売主 )及び設計事務所の検査の甘さが重なった現象だと感じました。
 
この様な事が起きません様に事業主( 売主 )、設計事務所、ゼネコン及びサブコン( 設備工事業者 )は充分に注意をして戴きたいと思います。
 
今回、コラム第92号では『 第一印象を良くするメーターボックス内の清掃が大切。 』の御説明と、とんでもない工事ミス事例を御紹介致しました。
 
この上記の内容は「 新規分譲マンション 」の企画・基本計画等や工事チェックを行う上では、とても重要で大切な事柄ですので、是非参考にして戴きたいと存じます。
 
私は、常に超大手や大手ディベロッパーは一流とは限らないと私は言っております。
 
私の建築的価値観での独断で申し上げれば、一流と評価できますディベロッパーはほんの数社しか有りません。ほとんどが三流ディベロッパーなのです。
 
一流のディベロッパーは常に購入者( 入居者 )への細かい配慮が行き届いた質の良い「 分譲マンション 」や「 分譲戸建 」等を供給しています。
 
何度も申し上げています様に、不動産の分譲事業で一番大切なのは事業主( 売主 )の信用と顧客に対する細かい配慮や物件の質の良さです。
 
準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーにとって「 超大手、大手ディベロッパーの寡占化 」に対抗し勝つ為には分譲物件の質の良さ、顧客への気遣いや細かい配慮及び将来クレームが生じない「 分譲マンション 」や「 分譲戸建 」を作り続ける事なのです。
 
ですので、毎回何度も注意を促しておりますが、商品内容の質やクレーム等で信用を落とすのは一瞬ですが、再度信用を築くには最低10年以上はかかります。この事もよく肝に銘じて下さい。
 
次回、第93号はフェーズ8の「 モノづくり 」第5項目の『 内覧会で売主側の要注意事項 』4項目中の第2項目である『 「 モデルルームと同じ納まりです。 」は通用しない。 』に関してのお話を致します。
 
 
次回の内容も期待して戴ければ幸いと存じます。
 
 
 
 
 
 
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