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イメージ戦略の一般論と罠 その5「笑いの罠」

最高の自分を表現する 成功イメージ戦略

今回は、前回に引き続き「表情」について。
さらに、その中でも前回も触れた真剣な場面での「笑っているように見える表情」とは違う、
本当に笑っているその行為と自分の立場を危うくするその罠。
笑顔には種類があり、その使い分けとTPOをわきまえている人、イコール、グローバル社会の中で
受け入れられ、成功という名を手にしている人といってもよいのではないかと思います。
逆に言うと、その笑顔の種類とTPOを知らずにいる人というのは、残念ながらその対極の存在となることは
お分かりでしょう。

それをまさに実感させられた、先日私が体験した例をあげてみましょう。

NYでの某イベント会場で、日本人のお若い2代目経営者の方にお目にかかった際のことです。
先方から声をかけてこられ暫く会話をしたのですが、どうも話が落ち着かないような、
浮きあがっているような、噛み合っていないような状態が続きました。しかし、先方はまだ
色々話をなさりたいような気配も漂わせており、こちらとしてはどうしたらよいのか分らない妙な状態。
当のご本人は、ご自身から声をかけていらっしゃるくらいなので、初めての場で誰かと知り合って
話をしてみようと頑張っていらっしゃるご様子でしたし、当然人を遠ざけるようなタイプではない。
押しが強い訳でもなく、自分を誇張するタイプでもない。また、勉強熱心な心意気さえ受け取れたくらいなので、
本来良い印象であるはずなのに、実際私が最初から最後まで感じていたのは、非常に居心地の良くない、
どう対応したらよいのか分らない人という印象を受けたのでした。

次の予定があった為、私は移動しなくてはならず場所を離れましたが、
その場を離れた瞬間に全ての原因に合点が。それは、彼の「笑い顔(笑い声)」。
その笑い顔とは、楽しい会話をする時(しようとする時)に相手に対してその気持ちを示す為に
人が見せるそれとは違う種類の物。日本人独特とも言われ、喜ばしくない評価をもらうこともある
「にやにや笑い」。だからこそ、何を考えて何を私に求めているのかが理解できず、
居心地が悪い気分になっていたのです。


人は、にこにこした素敵な笑顔の方との出会いや、そのときの会話と時間を、いい印象・記憶として刻みます。
例えそこでの話が他愛ないことであっても、それは楽しいひと時になり、
その人の第一印象は当然素晴らしいものになります。
まさに最高の笑顔こそ世界に通用する共通非言語であり、言葉を必要としない
最高のコミュニケーションであるといわれる証拠です。しかし、楽しくて微笑んでいるのではなく、
恥ずかしさや緊張を隠す為のおどおどしつつニヤニヤした中途半端な照れ笑いと、
それにもれなくセットとなっている、全く可笑しくもないのに発せられる「あははは」と感情の入っていない
音声だけで構成された笑い声。
これをもって反応をされることは、同じ言語を話す同士であったとしても、理解に苦しみます。
さらに、言語の違う人との間であれば尚更「何を考えているのか分らない」と受け取られるでしょうし、
「馬鹿にしているのか?」と思われることも仕方がないでしょう。
面白くもおかしくもないことに対して、中途半端に笑われることを、侮辱されたと受け取るのが人間ですから。

不安な心理状態はどんなに隠しても表情に現れます。
話術が巧みでないことや、言語が流暢でないことによって会話がとぎれ、しらっとした空気が流れる。
この時のなんとも言えない瞬間はたしかに辛いもの。
それが、自分が慣れていない場であればますますなんとかしなくてはという気持ちが働き、
とにかくニヤニヤ「あははは」と、返事も何も置いて、不思議な笑いをしてしまうのでしょう。
ただ、そういう気持ちをある程度理解できる、同じ日本人の私でも
「別に笑っていただくような話などしておりませんが?何かおかしいでしょうか?」と、
いい気分とは程遠いような心理状態になったのは言うまでもありません。

別れ際の最後までその例の笑いを向けられ、ご本人はきっと一生懸命な分、
非常に残念な印象を抱いた経験でした。


笑顔にはその人の自信が見えます。
また同時に、笑顔が最高に見える人というのは、相手への意思表示としての大切な行為として、
分かりやすく適切な表情をすることができているという共通ポイントがあります。
これは前回の会見の例でもそうでしたが、言葉だけでは伝えきれないものを補ってあまりあるのが表情です。
中でも本来ポジティブな印象を与える「笑い顔」が、ネガティブに働くなどという悲しい結果は
心して避けなくてはなりません。
さらに「日本人はあれだけ知的レベルが高いのに、あの妙な笑い方は何故?」と聞かれたことがありました。
やはり、何事もわかりやすく伝達することがご自分を正しいイメージとして伝えるには不可欠ですね。
そして、国際社会でのコミュニケーションにおける基本常識(ルール)を知っておくこと、
これこそ知らず知らずのうちに犯してしまっている、取り返しのつかない大失敗を防ぐ唯一の方法。
まさに知識は力なりなのではないでしょうか。そして、それを知っていれば安心でき、
余裕もできれば自信もわきます。中途半端で意志の見えない笑い顔の罠にははまらず、堂々とふるまい、
適切に笑うことで何者かであることを確実に伝える術を磨いてみてください。
必ずその評価はついてくるはずです。

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