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第16回 『アメリカで最も優れた中小企業』25社の半数が「コア・バリュー」をもつ理由

第16回 『アメリカで最も優れた中小企業』25社の半数が「コア・バリュー」をもつ理由

米フォーブズ誌といえば、大企業の動向を主に扱うビジネス誌として知られていますが、2016年の2月には、「ベスト・スモール・カンパニーズ・イン・アメリカ」と題して、史上初の中小企業ランキングを発表しました。
 
ランキングは、著名ビジネス・ジャーナリストであるボー・バーリンガム氏の定義による「スモール・ジャイアンツ」の枠組みに基づいています。「スモール・ジャイアンツ(小さな巨人)」とは、「規模ではなく、偉大さを追求する中小企業」のことであり、特徴として、「最高の商品やサービス」「最高の職場環境」「地域社会への貢献」などが挙げられます。
 
私は、「卓越した企業文化の育成」を経営戦略の中核に据えることによって、市場を上回る成長や高い顧客ロイヤルティを実現している企業を研究している経緯で、「スモール・ジャイアンツ」に出会いました。全米各地のスモール・ジャイアンツ企業を訪問し、その経営者にヒアリングを行っていくうちに、多くのスモール・ジャイアンツ企業が、私が開発・提唱している「コア・バリュー経営」やそれに類似した経営を行っている確信を得ました。
 
今回のランキングに選ばれた25社も、記事を読みながら独自に調べてみたら、なんと、コア・バリューをもち、自社のホームページ上などで公表しているところが半数を占めていました。
 
「スモール・ジャイアンツ」と「コア・バリュー」の間にはいったいどういった関連性があるのでしょうか。いくつかの点に着目して分析してみます。
 
1. スモール・ジャイアンツは人を原動力とする
金融から製造、小売、医療、IT、サービスに至るまで業界は様々ですが、スモール・ジャイアンツは「現場」が目的意識を共有して、真心のこもった素晴らしい顧客サービスを提供することにより、顧客(ファン)の熱烈な支持を得ています。
 
マニュアル通りの対応では、顧客の心に触れる体験は創造できません。「やらされている」のではなく、「自分がやりたいからやる」情熱をもって自発的に取り組む姿勢が必要になりますが、これは、目的意識の共有があるからこそ初めて実現するのです。
 
コア・バリュー経営では、まず、経営の基盤として、「コア・パーパス(会社の存在意義)」を定めて、社員全員の心を束ねる核とし、「コア・バリュー(核となる価値観)」を日々の言動の物差しとします。
 
共通の目的と、価値観があるから、自由な発想で働ける環境を創ることができる。つまり、「権限委譲」を行うことができるのです。
 
2. スモール・ジャイアンツは民主的である
経営者が会社の情報を社員と共有し、また、社員の意見にオープンに耳を傾ける姿勢と仕組みを持っていることも、スモール・ジャイアンツに共通した特徴のひとつです。
 
かつての企業では、会社の中の大きな意思決定というものは、経営者や経営チームの独断でなされていたものです。しかし、スモール・ジャイアンツ企業の多くは、会社を「みんなのもの」と考えて、みんなが意見を持ち寄って、集団的な意思決定をするという取り組みをしています。
 
今回のランキングにも登場しているシカゴのテイスティ・ケータリングという会社では、各部門の代表者が集まる運営委員会で、「非常時の救済プラン」があらかじめ決められていました。つまり、何らかの理由で会社の財務状況が思わしくない場合に、いつ、どういったやり方でレイオフを遂行するかということが決められていたのです。
 
2008年頃からアメリカを襲った不況のあおりを受けて、不幸にもこの「救済プラン」を発動しなければならなくなった時、「誰を」レイオフするかという決断を任された現場監督者たちは、協議の上、「誰もレイオフしない」という決断を下しました。
 
「会社は家族である」という価値観に則って考えると、誰も見捨てることはできないと判断したのです。そして、代替案として、従業員全員について、一人当たりの週の就労時間を減らすことで、レイオフをせずに労務費を減らす方法を提案しました。
 
レイオフをする意思で、監督者たちに決定を託した経営トップは、突然のプラン変更に戸惑いながらも、従業員の決定を尊重したそうです。
 
共通の価値観に基づいて考える、ということが徹底されているため、経営側と働く人の間に、「会社のためにならないことをするはずがない」という相互的な信頼があるのです。
 
3. スモール・ジャイアンツは固い信頼の上に培われた組織である
ここでのビッグなキーワードは「信頼」です。
 
アメリカにエデルマンというPR会社がありますが、毎年、「トラスト・バロメーター(信頼のバロメーター)」と呼ばれる調査をグローバル規模で行っています。生活者(消費者)の国や企業に対する信頼度を測る調査ですが、今回初めて、従業員の企業に対する信頼度を問うという試みが行われました。
 
すると、なんと、日本のビジネスピープルの会社に対する信頼度は世界最下位という結果がでたそうです。グローバル平均の65%に対して、「会社を信頼している」と答えた人はわずか40%だったとか。
 
会社を信頼しない従業員に、どんなにいい仕事を期待しても、良い結果が出るわけはありませんよね。コア・パーパスとコア・バリューは、会社と従業員がお互いに交わす「約束」のようなものです。「約束」という土台があるからこそ、そこに信頼が生まれ、「お客さんを喜ばせるような仕事をしよう!」「皆で力を合わせて目標を達成しよう!」「この会社で働きたい!」といったような好循環が生まれるのです。
 
大企業でこのような「目的意識と価値観の統一」を行うのは並大抵のことではありませんが、中小企業では、経営者の覚悟と強い意志と根気さえあれば成し遂げることが可能です。そしてこれは、大企業を含め他社との大きな差別化になります。これが、日米を問わず、中小企業の経営者の間で、コア・バリュー経営が注目を浴びている理由なのです。
 
 
 

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経営コラムニスト紹介

ダイナ・サーチ、インク代表 石塚しのぶ氏

石塚しのぶ氏(ザッポスの奇跡の著者/ダイナ・サーチ、インク代表)

米国で日々生まれている優れたビジネスモデルや事業アイデアを収集、分析し日本企業へ提供する日米間ビジネスコンサルタント。幾度の経済危機を乗り越え躍進続ける米国最強中小企業群の経営手法を研究し、会社が強く結束する「コア・バリュー経営」を開発し発表。指導先が採用したところ「社員の働き方が変わった」、「社員に言葉が伝わりやすくなった」、「売上利益が伸びた」…と経営者から反響を呼び、導入指導、戦略立案アドバイスに飛び回る。南カリフォルニア大学卒業後、アポロ11号が成し遂げた人類初の月面着陸に衝撃を受け、コニックスバーグ・インストゥルメント社でNASAプロジェクトに従事した後、独立。日米間のビジネス・コンサルティング会社、Dyna-Search, Inc.をロサンゼルスに設立。 主な著書に「売れる仕組みに革命が起きる」、「ザッポスの奇跡」、「未来企業は共に夢を見る」他。

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